分断と排除の時代に「平和の種」を 4団体共催で初 平和の種まきフェスティバル 2026年2月1日

 分断と排除が世界各地で深刻化する現代社会にあって、キリスト者はどのように平和と希望を語り、行動していくことができるのか。その問いを共に抱え、「平和の種」をまき続けることを願う「平和の種まきフェスティバル」が1月11、12日の両日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)を会場に開催され、全国から約50人が参加した。

 同フェスティバルは、日本キリスト教協議会(NCC)在日外国人の人権委員会、富坂キリスト教センター、「これもさんびかネットワーク」、NCC教育部の4団体による共同企画で、NCCエキュメニカル協働基金の助成を受けて実施されたもの。

 「希望を手放さず、平和の種をまき続ける」という共通の願いのもと、教派や地域、立場を超えた参加者が、礼拝、全体会、九つの分科会を通して、互いに励まし合い、賛美と対話、実践を共有した。

 四つの分科会で幕を開けた初日。「笑顔で一緒にペーパークラフト」分科会では、「パクパクあいさつ人形」や「エンボスカード」、「びっくりメッセージカード」など、手を動かしながら楽しめる製作が行われた。和やかな雰囲気の中で、イランからの2人のゲストがペルシャ文化を紹介し、近年報道されてきた反政府デモの背景や歴史、現在の状況についても語った。参加者は、ニュースでは断片的にしか知り得ない現実を、当事者の声を通して受け止める機会となった。

 「これもさんびかネットワーク」による分科会「うたおう、これもさんびか♪」では、同ネットワークが作ったユーモアと社会的視点に富んだ賛美を通して、「平和」をテーマに歌う時間が持たれた。替え歌や即興の歌づくりに挑戦し、礼拝で歌う新曲「平和の種まき」を目指して、参加者全員で詞を紡いでいくプロセスを体験した。 

 分科会「ゲームを全力で楽しもう!」では、自己紹介から始まり、クイズや身体を使ったゲームまで、2時間にわたって多彩なゲームを体験。若者言葉を問うクイズやなぞなぞなど、教会の現場でも応用できる場づくりの工夫を学びながら、ゲームを通して人と人がつながる力を実感する時間となった。

 分科会の一つとしてイスラム教のモスクを訪問するフィールドワークも行われ、参加者は代々木上原駅に集合し、東京ジャーミイを訪問。歴史あるモスクの建築美に触れつつ、イスラム教の信仰や礼拝についてガイドの説明を受け、実際の礼拝も見学した。多くの一般見学者と共に、イスラムを知り、キリスト教との共通点や違いについて考える貴重な機会となった。

 夕食後には、開会礼拝「出会いと賛美の時」がささげられた。「平和の種」をテーマに、特にイランで起きている心痛む出来事を覚え、参加者全員が手をつないで祈りを合わせた。互いの出会いに感謝し、平和を願う思いを一つにする象徴的な礼拝となった。

 続く全体プログラム「体験しよう!非暴力でコミュニケーション」では、非暴力コミュニケーション(NVC)の考え方に基づき、相手を裁かずに関心を向ける姿勢を学んだ。「エンパシー・ポーカー」を用いた実践を通して、感情やニーズを丁寧に聴き合い、対立の奥にある「いのちの声」に気づく体験が共有された。

 2日目の全体会は「体験しよう!ワールド・カフェ」から始まり、席替えをしながら対話を重ね、「それぞれの教会やグループでの課題」をテーマに語り合った。聴く姿勢を大切にしつつ、自由で開かれた対話の中で、共通する悩みや、それぞれの場の違いが浮かび上がった。

 午後の分科会も、多様なテーマが用意された。

 分科会「マンガと動画でからふるカフェ!」では、外国にルーツを持つ人々の物語を描いた冊子『からふるな仲間たち』を用い、動画に声を当てる作業を行った。スリランカ出身で難民申請を希望する男性の長年にわたる苦しみと、日本社会の厳しい現実に触れ、多文化共生の課題を改めて突きつけられた。

 分科会「いのちにつながるコミュニケーション」では、NVCの視点から、相手を傷つける言葉や自分を責める内なる声から身を守る方法を学んだ。「ジャッカル型」の思考から「キリン型」の思考へと転換する難しさを体感しつつ、実践の必要性を共有した。

 分科会「LGBTQ+と共に生きる」では、キリスト教界の中にセクシュアリティに関する理解を広め、性的少数者も安心して通える教会を増やすための啓発活動などを行う「約束の虹ミニストリー」からゲストを招き、教会における「平和」とは何かを対話。誰もが安心でき、人権が尊重される教会の在り方や言葉遣いについて、率直な意見交換が行われた。

 分科会「どうしてる?聖書のお話」では、子どもたちに聖書をどのように生き生きと伝えるかをテーマに、実際の語りを聞き合った。教訓ではなく、聖書の魅力を伝える語りのヒントを見出す時間となった。

 最後に各分科会からの報告を通して、他の分科会での学びを共有した参加者。閉会の派遣礼拝では、陣内大蔵氏(NCC教育部、日本基督教団東美教会牧師)のメッセージと、「これもさんびかネットワーク」による賛美に導かれ、一人ひとりがそれぞれの現場へと「平和の種」を携えて遣わされていった。

 参加者からは、「これまでに経験したことのない企画が多く、新鮮な驚きがあった。話を聞くだけでなく、参加者同士で語り合う時間があり、平和について自分自身の言葉で考えることができた」「子どもも大人も一緒に参加でき、自然と会話が生まれたことが印象に残った」「内容が非常に充実しており、学びと出会いに恵まれた時間だった」との感想が寄せられた。また、「ワールド・カフェ」や「エンパシー・ポーカー」を初めて体験したという参加者からは、他者の思いに耳を傾けることの大切さを実感した」との声も聞かれた。

 今後に向けては、「東京以外の地域でも開催してほしい」「オンラインでの参加が可能になれば、さらに多くの人に開かれるのではないか」といった期待の声も寄せられている。

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