【この世界の片隅から】 米国とイスラエルによるイラン侵略に対する韓国基督教教会協議会らの応答 松山健作 2026年4月1日

 去る2月28日、米国とイスラエルがイランに対して先制攻撃を開始した。日本キリスト教協議会(NCCJ)においても強く憂慮する抗議声明が発表されている。韓国基督教教会協議会(NCCK)も3月3日、パク・スンリョル総幹事が「米国とイスラエルはイランに対して軍事的侵攻を即刻中断せよ」と追及している。

 また3月16日には韓国において、NCCKを中心に米国とイスラエルのイラン侵攻に抗議する各界660の団体1715名がソウルに集結し、「米国とイスラエルのイラン侵略事態についての各界共同時局宣言文」を発表した。米国、イスラエルの侵略戦争を強く批判するとともに韓国政府がイランへの派兵を検討していることに対して、戦争参加しないように強く求めている。この宣言は、キリスト教界のみにとどまらず、宗教界、及び市民団体の連帯によるエキュメニカルな宣言であることにも注目していただきつつ、下記に翻訳紹介することにする。

 尊いいのちが一つも奪われないように私たちも連帯し、日本も武器や物資などを通した戦争参加がないように努め、いのちを尊ぶための反戦行動に努めることができればと祈っている。


米国とイスラエルのイラン侵略事態に対する各界共同時局宣言文

不法不当な侵略戦争を糾弾する!
侵略をやめろ! 戦争をやめろ!
政府はホルムズへの派兵要求を拒否せよ!

 現在、中東では人類の普遍的な常識と国際秩序を深刻に破壊する重大な事態が起きている。米国とイスラエルは交渉中だったイランに対する一方的な攻撃を敢行し、イラン全域を爆撃して指導部を殺害し、これに対してイランが報復の反撃を行う中で中東地域と全世界が残酷な戦争に直面している。

 トランプ大統領は「差し迫った脅威」があったと強弁したが、米国ルビオ国務長官は数日後、イスラエルがイランを攻撃する場合、これは結局米軍に対するイランの攻撃を促したため、米国が「先制的に」行ったと言及した。「差し迫った脅威」という米国の主張は偽りの扇動にすぎなかったということが満天下に示された。

 米国とイスラエルのイラン侵攻は、いかなる名分であっても正当化することはできない。米国とイスラエルのイラン侵攻は、他国の領土の保全と政治の独立を武力で脅かすことができないという「国連憲章第2条4項」を徹底的に蹂躙する不法行為であり、国際社会がこれまで形成してきた最小限の規範さえ踏みつける戦争犯罪である。米国トランプ政権は、さらにイラン南部ミナブの小学校(シャジャレ・タイエベ)を爆撃し、なんと180名を超える児童たちと教職員を一度に殺害し、その責任を認めていない。トマホークミサイルの破片など明確な物証が明らかになったにもかかわらず責任を否定し、また被害者らを嘲笑している。

 米国とイスラエルの容認し難い侵略と戦争犯罪によって中東全体が望まない戦乱に包まれた。トランプ大統領が期待した「政権交代」が起こるどころか、むしろ怒りと敵対感のみが強まっている。他国の主権と生存、平和を武力で蹂躙する侵略と戦争では民主主義も人権ももたらすことができず、数多くの無実な人命を殺傷し、敵意を高めるだけであることは明確である。

 世界の生命線であるホルムズ海峡が戦場になり、国際原油価格が急騰し経済危機が激化する中で、そのすべての苦痛は社会的に最も脆弱な人々に、より早くより厳しく伝わっている。続く攻撃と反撃の中で、今も多くの人命が犠牲になり、言葉を発することのできない非人間存在が苦しみ破壊されている。

 不義な侵略戦争をやめなければならないという切迫した訴えにもかかわらず、最近のトランプ大統領は韓国など7カ国にホルムズ海峡海軍派兵に圧力をかけ参戦国を拡大しようとしている。戦争が長くなり、莫大な戦争費用と原油価格の引き上げなどで圧迫される中で同盟国に戦争負担を転嫁しようとしている。今週内に「船舶を護衛するための連合体の構成」に対する合意を発表するという報道とともに、トランプ大統領は米軍駐屯を取り上げ、「米国に感謝するだけでなく助けなければならない」「(参戦するかどうか)覚えておくように」と圧力を強めている。

 韓国政府はトランプ政府の派兵要求に対して「慎重に検討する」ことを明らかにしたが、一部では「我が国民の国民保護活動時には指示される海域を含む」という条項を根拠に清海部隊をホルムズ海峡に派遣する「小細工的な派兵」の可能性に言及している。

 米国とイスラエルの一方的な侵略戦争の後処理を私たちが引き受けなければならない理由はない。さらに、ホルムズ海峡はイランのミサイル、機雷、ドローンなどが集中した戦場の中心になった。もし政府がホルムズ海峡に海軍を派遣するならば、これは「船舶保護」や「国民保護」措置ではなく、明らかな「戦争参加」で「大韓民国は国際平和の維持に努め、侵略的戦争を否定する」と釘打ちした憲法5条1項に違反する違憲行為である。派遣された海軍と在外同胞を砲弾の前に差し出すだけでなく、主権と平和、生命と安全保障を総体的な危機に追いやる自害的措置になるだろう。

 これまで政府は放散輸出の得実を問い、K-放散の成果を誇るために急ぐトランプ行政部の一方的な駐韓米軍への兵器差し出しにおいても袖手傍観してきた。しかし、韓国は不義の侵略戦争に軍隊を派兵して戦争の一翼を担うわけには絶対にいかない。米国は「海峡の安全確保」「タンカー保護」を建前としているが、ホルムズ海峡の安全確保は侵略戦争をすぐに中断することに始まり、我が国民の保護と地域の安定のために今必要なことは、軍艦や戦争物資による支援ではなく、迅速な終戦と交渉のための努力である。すでに各国がホルムズ海峡に軍事派遣をしないという意思を明らかにしており、イランと直接交渉を始めている。政府は軍人と在外同胞の命を奪い、国際関係の悪化はもちろん経済的破局にまでつながる派兵を断固として拒否しなければならない。

 米国の激しい圧力に抗い派兵を防ぎ、私たちの主権と平和を守らなければならない。政府は米国の不法不当な派兵の圧力を断固拒否し、国際的協力を通じて戦争をやめ、平和的解決を始めるよう促すべきである。国会は、清海部隊を政府の小細工的な派兵などの企てに対し派兵できないよう確実な歯止めを効かせねばならない。

 今日この場に集まった私たちの宗教、市民社会、政党も主権者市民の力を集結し、イランへの派兵を防ぎ、戦争を一日も早く終わらせるように最善の努力をするだろう。

アメリカとイスラエルは、イランへの違法攻撃と侵略を直ちに中断せよ!
韓国政府は侵略戦争に協力するな!ホルムズ海峡派兵要請拒否せよ!
国際法を蹂躙する米国トランプ政権、イスラエル・ネタニヤフ政権を糾弾する!
主権者と憲法の名によって要求する!政府は侵略戦争を否定し、平和作り出すように!
平和を望む!侵略をやめろ!戦争をやめろ!
全世界の市民連帯によって正義平和の世界を成し遂げよう!

時局宣言参加者一同

松山健作
 まつやま・けんさく 1985年、大阪府生まれ。関西学院大学神学部卒、同大学院博士前期課程、ウイリアムス神学館、韓国延世大学神学科博士課程修了(神学博士)。現在、日本聖公会京都教区司祭、金沢聖ヨハネ教会牧師、聖ヨハネこども園園長、『キリスト教文化』(かんよう出版)編集長、明治学院大学教養教育センター付属研究員など。

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