【令和8年熊本地震】九キ災、解散前に緊急支援へ 目標500万円 カトリック八代教会に被害 ベトナム人信徒も犠牲 2026年8月2日

令和8年熊本地震を受け、キリスト教関係の支援は、被害状況を調べる初動段階から、物資の提供、募金、教育・保育活動の再開に向けた対応へと移りつつある。9月末で解散する予定の九州キリスト災害支援センター(九キ災)は、団体として支援活動を行わないとしていた当初の方針を変更し、8月から2カ月間、限定的な緊急支援に取り組むことを決めた。カトリック福岡教区は、八代教会の施設被害と、同教会に所属するベトナム人信徒の死亡を公表した。
九キ災は8月1日、フェイスブックで「緊急の寄付のお願い」を発表。9月末の解散を控え、当初、今回の地震について寄付金や物資の受け付け、ボランティアの募集・派遣などを公式には行わないとしていた。支援期間は8月から9月末まで。水、食料、その他の生活必需品を必要な地域へ提供する。一般から支援物資は受け付けず、物資購入費、輸送費、人件費などに充てる「熊本地震指定献金」として、500万円を目標に寄付を募る。
カトリック福岡教区のヨゼフ・アベイヤ司教は7月29日、福岡カリタス担当の寺浜神父、教区事務局長の十時神父とともに、熊本県内の教会と被災地域を視察。カトリック八代教会では聖堂、司祭館、信徒会館の被害を確認した。他の教会、修道院、施設の被害は比較的少なかったものの、信徒の状況はまだ十分に把握できていないとして、情報収集を続けている。教区は福岡カリタス委員会を中心に支援策を検討し、被災地支援募金を開始した。ボランティアについては現段階で募集せず、改めて案内するとしている。
福岡教区は、カトリック八代教会のベトナム人信徒、ペトロ・ソン氏(24)が地震で死亡したことも明らかにした。ソン氏は熊本県甲佐町の金属加工会社で、地震の影響により落下した工場の屋根の鉄骨の下敷きとなった。妻と生後7カ月の子どもを残しての突然の死となり、教区は遺族のための祈りを呼びかけている。
カリタスジャパンも7月31日、「令和8年熊本地震緊急支援募金」の受け付けを開始した。カリタス福岡をはじめとする関係機関・団体と連携し、被災者への支援、生活再建、地域の復興に活用する。カトリック福岡教区への募金は、被災した教会の修復、信徒への見舞金、支援活動全般に、カリタスジャパンへの募金は、教会内部に限らない被災者支援や生活再建、地域復興に用いるとして、両募金の使途を分けている。
日本基督教団九州教区が公開する被災状況一覧にも、新たな報告が加わっている。八代教会では教会員がおおむね無事で、会堂本体にも目立った破損はなかったが、室外機が転倒し、台所では多くの食器が破損。牧師館でも棚が倒れ、書籍などが散乱した。関係する聖愛幼稚園では、園児と職員にけがはなかったものの、壁の一部に亀裂が入り、照明器具が外れたほか、給食室の業務用冷蔵庫が転倒した。市からの通達を受けて休園し、園児の受け入れ再開に向けて片付けを進めている。
八代市内では一部地域を除いて断水とガスの供給停止が続き、教会でもトイレを流すための水の確保に苦慮している。店舗の休業が多く、食料の確保も課題となり、避難所で過ごす信徒もいるという。
合志豊岡伝道所の関係施設、ひかりの子保育園では、2階保育室の天井埋め込み式エアコン2基が落下し、仕切り扉やドア枠が損壊した。食材庫の天井にも傾きが生じ、地下水設備や冷蔵庫、放送機器に不具合が出ている。2階保育室が使えないため、3歳以上の園児を1階遊戯室で合同保育し、保護者に家庭保育への協力を求めている。登園児は通常の半数程度という。
錦ヶ丘教会では教会員全員の無事を確認したが、礼拝堂のエアコン吹き出し口が脱落した。断水している教会員もいる。熊本草葉町教会では、信徒宅の外壁や台所の内壁、ガスメーターとガス管付近の壁に損傷が確認された。教会堂そのものの被害だけでなく、保育施設や信徒の日常生活への影響が次第に明らかになっている。
日本福音ルーテル教会は7月31日、永吉秀人総会議長名で書簡「2026年7月28日発生の熊本地震に関して」を公表した。その時点で教職者や信徒に大きな人的被害の報告はないものの、一部地域で停電や断水が続いていると説明。7月29、30の両日に事務局スタッフが今後の対策を協議し、るうてる法人会連合のネットワークを通じて、教会関連施設の状況を確認しているとした。8月第1週の主日には、各教会の礼拝で被災者と救援・支援に当たる人々を覚えて祈るよう呼びかけた。
学校法人九州ルーテル学院は7月31日、大学、中学・高校、インターナショナルスクール小学部、幼稚園、保育園を含む学院全体として、安全を優先しながら教育活動と学院運営の復旧・再開に取り組むと表明した。卒業生、日本福音ルーテル教会、関係学校、キリスト教学校教育同盟などから見舞いや励ましが寄せられていることも明らかにした。
九州ルーテル学院大学は同日午後5時、学生と教職員全員、大学付属くろかみ保育園の園児と教職員の無事を確認したと発表。大学施設に構造上の深刻な被害はなかったが、床や壁の亀裂、本棚の転倒、図書館蔵書の落下などを確認した。大学は「被災した学生の生活再建を最優先」に対応するとしている。
子どもを対象とした支援も始まった。キリスト教精神に基づく国際協力NGO、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、子ども支援の知見を持つ初動調査チームを熊本県内に派遣した。益城町の木山キリスト教会では、停電した近隣世帯の住民5人を受け入れていた。同団体は飲料やボディーシートなどを届けたが、教会側は水道が復旧したとして、水1ケースを断水の続く地域へ届けるよう託した。
WVJは今後、行政や関係機関と連携し、子どもの心のケア、安全な遊び場の確保、学校再開支援などを視野に、必要な支援を調べる。夏休み中で学校や保育施設を利用できない子どもの居場所を、どのように確保するかも課題となっている。
熊本YMCAは8月1日、救援・復興支援募金の受け付けを開始。期間は9月30日まで。熊本YMCAの各拠点でも、建物の亀裂、床の隆起、天井パネルの落下などが確認されており、寄付金は施設の復旧と被災地域での救援・復興活動に活用する。全国のYMCAネットワークと連携して支援活動を始め、現場で使用する備品を募るため、Amazonの「ほしい物リスト」も公開した。
施設の安全確認を経て、本館・グローバルコミュニティセンター、ながみねファミリーセンター、東部グローバルコミュニティプラザは8月3日、むさしグローバルコミュニティセンターは4日から全プログラムを再開する。みなみグローバルコミュニティセンターでは3日から、夏休み中の子ども向けプログラム、英会話、サッカー、幼児園などを一部再開するとしている。
(8月2日8時現在)














