【雑誌紹介】 平和を語ることの難しさ 『信徒の友』8月号

特集「平和主義は役立たずか?」。前文で同誌編集部が呼びかける。「少数だろうと、無力感にさいなまれようと、私たちは平和主義者だ。そのために働く者たちの声を聴こう。平和を作り出す者として現実を見つめ、歩みだそう」と。
「『たたかわない』ために『たたかう』こと」と題して金迅野(在日大韓基督教会横須賀教会牧師、立教大学大学院教員)が述べる。
「戦争によって奪われたいのちを数としてしか認識しない社会、そして貧困に追い込まれつつあるいのちなどどうなろうと知ったことかというマインド(精神)がふくれあがるような社会に対して『腸のちぎれる想い』に駆られるイエスは、このような社会に抗う『たたかい』へと私たちをいざなっているのではないでしょうか。『ほんとうにこれでよいのか』という問いとともに」
「誰かの汚れた箇所を指摘し非難し攻撃するとき、国家や社会や個人の間の分断はさらに深まります。今日、ときに教会のなかでも、分断に分断を重ねる姿を目にするのは私だけではないでしょう。イエスの洗足の教えは、そのような国家や社会や教会や個人のあり方を厳しく問うています」
「苦悩や痛みを放置する社会に抗い、互いに仕え合うところにイエスの説く平和があります。しかし平和を語ることには難しさがあります。平和を語る私自身が抗いがたく平和を壊し、人間の尊厳をそれと知らず損なうような『汚れ』た構えを身に着けてしまっているかもしれない、という苦い事実をかみしめることになるからです。問題はイエスの言葉とともにあろうとする私たちの悔い改めが、世が平和や人間の尊厳を壊す速さに対抗できるのかという問いとともにあるようです」
国境なき医師団日本元会長で小児科医の加藤寛幸が、「それでも水をまき続ける」と題して活動を振り返る。
「国境なき医師団(以下、MSF)は、苦境にある人、天災・人災・武力紛争の被災者に対し、人種、宗教、信条、政治的な立場を超えて差別することなく援助することを旨として活動しています」
「『平和とは』。日本に帰国した今、そう問われて私の脳裏に浮かぶのは、国際人道法がすでに過去のものとなってしまったかのように繰り返される学校や病院、医療従事者、人道援助活動に携わる者への攻撃です。……今の世界では、『敵味方の区別なく、「ただ苦しんでいるという事実」だけを基準に平等に保護し、苦痛の軽減を計る』という人道主義の明かりは風前のともしびと言っても過言ではないでしょう」
「『どうしたら世界が少しずつでも良くなっていくのでしょうか』。そんな途方もない問いを、私は今なお手放すことができません。これまで考え続けてきて得られた答えは、とてもささやかなものです。それは、諦めずに行動し続けること、たとえ『砂漠に水をまく』ようだとしても、水をまき続けることです」
【700円(本体636円+税)】
【日本キリスト教団出版局】














