【雑誌紹介】 混沌を受け入れる 『福音と世界』6月号

特集「宗教と人権」。上村静(尚絅学院大学教授)による「宗教と人権――秩序という共同幻想と混沌の受容」。
「『宗教』も『民族』も『国民国家』も共同体を共同体たらしめる共同幻想であり、<宗教>としての機能を果たしている。人権が人として自由に生きる権利であるならば、<宗教>という共同幻想にもとづくいかなる共同体も人権を十全な形で実現することはできない。個人に属するあらゆる個性をすべて解放した者同士の共同体はあり得ず、権利の一部を譲渡することによって秩序づけられた『共同体』への帰属権を得るのであり、その帰属意識こそが生にともなう『おそれ』や『不安』を克服してくれるはずだと信じられているからである――もっとも、日本で日本人として暮らしていても生への不安がなくなるほど国家は信頼されておらず、それを隠蔽するために外国や国内マイノリティへの敵意がむき出しにされている」
「人が独りで生きるのは容易でない。だから共同体を形成するのだが、それが共同体であるためには共同幻想=<宗教>を必要とし、それによって秩序が形成され、一時の安心を得る。けれども、それゆえにその秩序を守るべく自由が奪われ、また共同体同士の争いに巻き込まれ、混沌へと回帰する。生には混沌が付きまとうのであり、それから逃れることはできない。そうであるならば、混沌を、それにともなう不安やおそれを、特別な意味など持たない世界と人生を、共同幻想のない<宗教>の要らない生を、そのままに受け入れて生きることはできないものか。ただ生きる、生きている、そのこと自体を幸いとするコヘレトの言うような『神を畏れる』生き方を」
「生きることには混沌が付きまとうという当たり前の事実を受け入れ、共同幻想=<宗教>の要らない共生の在り方を模索すること、『イマジン』することが、『神の似姿』としてのすべての人の尊厳=人権を回復するはじまりとなるのではなかろうか」
【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】














