【雑誌紹介】 女性の尊厳強調したペラギウス派 『福音宣教』8・9月号

 連載終了まであと3号となった連載「ペラギウス派と古代東方神学」。山田望(南山大学教授)が「ペラギウス派による女性信徒観」を解説する。

 「四一八年のカルタゴ教会会議では、アウグスティヌスの原罪論の骨子が決議承認されたが、決議文には盛り込まれなかったものの、この原罪論とともに、『女性は男性より劣っている』との否定的な女性観が西方教会伝承の本流へと流れ込んでいったのである。……他方、同じく四一八年に原罪を否定する者たちとして排斥されたペラギウス派は、一貫して女性の存在を貶めることなく、女性が男性同様の神の似姿として捉えられ、等しく尊厳に値する存在であることを強調した」

 「ところで、フェミニズム神学者E・S・フィオレンツァによれば、イエスに最後まで付き従った人々は女性たちであったのみならず、初期キリスト教運動において、聖職者、教師、家の教会の創始者、パトロンや宣教者として女性たちが重要な役割を果たしていた。しかし、イエス運動の中心に位置した女性たちは、歴史的・社会的変動の中で急速に周縁部分へと追いやられ、東方教会では女性助祭職が七世紀後半まで存続したのに対し、西方ラテン教会圏では四世紀半ばには歴史の表舞台から姿を消した。ハンス・キュンクによれば、イエスの神の国運動の重要な中心部分に位置した女性の存在や役割の重要性を抹消し、女性の真の解放を妨げたものとは、一、教会内部の男性支配による位階構造の浸透、二、古代キリスト教において顕著に表れた性(Sexuality)の敵視、三、教育、すなわち女性教育の軽視、の三点に集約できるという」

 「まさしくキュンクの指摘する以上の三点は、五世紀初頭のペラギウス論争におけるアウグスティヌスの勝利、そしてペラギウス派の排斥によって決定づけられたと言える。ペラギウス派こそ、古代末期の西方ラテン教会において唯一と言って良いほど、女性信徒の存在を重視し、女性の尊厳を強調した一派であった」

【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】

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