【雑誌紹介】 冷たい現実を目の当たりに 『聖母の騎士』9月号

 看護師の平恵子による連載「山谷のまちからこんにちは!」第33回「もう一つの新たな旅路――外で暮らす人々との関わり⑧」。

 「酷い嘔吐に見舞われたAさんは、近くの病院に緊急搬送されました。そこで、私はとても冷たい現実を目の当たりにしました。医師や看護師は、Aさんが路上生活者だとわかるととても嫌そうな態度を全面にだしました」

 「Aさんの点滴治療が終わり、ベッドから車いすに移乗して処置室を出たところでAさんは再び嘔吐しました。……私は、点滴に制吐剤を入れてくれるようにもっと頼めばよかったと今でも後悔しています。あの時に、そこまで医師や看護師に伝えられなかったのは、私の弱さです。路上の人の救急搬送に同行したのが初めてであり、どうなるのかが分からず、とても不安で怖かったこと、その上、医師や看護師の冷たい態度で更に何も言えなくなっていました。……この経験が、私を強くしてくれたのでしょうか、この後の路上の人の救急搬送では、何があっても私の思いを伝えることができるようになりました。ただ、今でも思うのは、Aさんのことは5年前の出来事ですが、まだ私の記憶はあの時の医師や看護師の様子が鮮明に残っています。相手の記憶に残るのであれば、この医師や看護師のような態度で相手の記憶に残るようなことはしたくないということと、私の中にもこの医師や看護師と同じ様相があることも忘れてはいけないということです」

 「その後、Aさんは回復して、日雇い労働などに行っていました。しかし……ある日突然路上で倒れて帰らぬ人となったそうです。とても寂しく、やりきれない思いだけが残っています。Aさんのことをきっかけに、その後、私たちの活動において外で暮らす人々が徐々に医療に繋がり始めました」

【本体225円+税】
【聖母の騎士社】

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