恵泉の「聖書・国際・園芸」を次代へ 閉学控え有機教育農場の行方を考えるシンポ 2026年9月15日

2024年度から学生募集を停止した恵泉女学園大学(東京都多摩市)の有機教育農場を次世代にどう継承するかを考えるシンポジウム「私たちは次世代に何を残せるのか。恵泉女学園大学の『有機・教育・農場』から未来を育む」が10月3日、町田市文化交流センターホールで開かれる。大学が閉学に向けて歩む中、長年にわたって学生や市民が土に触れ、農と食、自然との共生を学んできた「場」と教育実践をどう未来につなぐかを、研究者、実践者、学生らが話し合う。オンラインでも視聴可。
恵泉女学園は、キリスト者の河井道が1929年に創立。「聖書」「国際」「園芸」を教育の三つの礎としてきた。「聖書」に基づいて人を愛し、「国際」を通して平和に奉仕し、「園芸」を通して自然といのちを慈しむという三者を結び付けた教育が大きな特徴だ。1988年に開学した恵泉女学園大学でも園芸は全学生の学びに位置付けられ、人文社会系の大学でありながら、1年次の栽培実習「生活園芸」を必修とした。大学によれば、人文系大学の教養教育に栽培実習を定着させた国内初の事例だという。
転機となったのは1994年。農場での栽培を、農薬や化学肥料に頼らない有機園芸へ転換し、「共生」「循環」「多様性」を柱に据えた。約70アールの教育農場では、学生一人ひとりが野菜を育て、収穫して食べるまでを体験してきた。2001年には教育機関として初めて有機JAS認証を取得。2023年には農林水産省の「未来につながる持続可能な農業推進コンクール」で関東農政局長賞を受賞し、これまで1万人近い学生が農場で学んできたと大学は報告している。
しかし学校法人恵泉女学園は2023年3月、18歳人口の減少や共学志向などによる定員割れが続き、大学部門の金融資産の維持が困難になったとして、24年度以降の大学・大学院の学生募集停止を決定。「閉学を前提とした募集停止」と説明した。23年度入学生が最後の入学生となり、26年度はその学生たちが標準修業年限を迎える最後の年度となる。ただし、大学は27年度以降に在籍する学生がいる可能性も明記しており、すべての学生が卒業するまで大学を継続する方針。閉じるのは大学・大学院で、世田谷キャンパスの中学・高校を中心とする学校法人恵泉女学園は存続する。
閉学後の多摩キャンパスをめぐっては、学園の2025年度事業計画に「大学閉学後の多摩キャンパスの土地・建物の売却については、積極的に進める」と明記されている。大学が今年5月に最後の「恵泉スプリングフォーラム」を開催した際にも、最後の卒業生を送り出した後には大学・多摩キャンパスという「場所」はなくなるとの認識が示された。
こうした中、農場だけでもその教育機能を次代に残せないかと、卒業生、公開講座の受講者、地域住民らの間から声が上がった。Facebookの公開グループ「恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋ぐために」は、学生募集停止の発表後、「有機教育農場を未来へつなげないだろうか」という声が寄せられたことをきっかけに生まれたという。直近の投稿ではグループの参加者が1千人に達したと報告されている。
今回のシンポジウムは、その思いを「さらに一歩前へ進める」機会として企画された。第1部「農場の価値を見つめる」では、澤登早苗氏(恵泉女学園大学名誉教授)が「恵泉教育農業の歩み」を振り返り、鬼頭秀一氏(東京大学名誉教授)が基調講演。勝野美江氏(高崎健康福祉大学教授、元農林水産省審議官)、神谷由紀子氏(NPO法人みどりのゆび事務局長)がリレートークを行う。
第2部では「次世代へ何を残すのか――畑、思想、関係性」をテーマに、鬼頭、澤登、勝野、神谷の各氏に菊池あゆみ氏、現役学生代表を加えて討論する。モデレーターは小谷あゆみ氏。最後には纐纈健太氏が坂本龍一の「Aqua」をピアノで演奏する。
主催はNPO法人まちだみどり活用ネットワーク、企画・共催は「恵泉女学園大学の有機教育農場を次世代につなぐために」事務局。午後1時~3時半。一般1500円、学生無料。「恩送りチケット」も用意する。申し込みはPeatix(https://keisen.peatix.com/)から。
















