【書評】『愛と狂瀾のメリークリスマス』 なぜ異教徒の祭典が日本化したのか 堀井健一郎

コラムニストとして活躍する著者による、「日本のクリスマス史」。著者独特の視点による、クリスマスを軸にした日本におけるキリスト教史と言えるだろう。
キリスト教と世間のクリスマスの関係性が薄いのは日本に限ったことではなく、20世紀のフランスでは、カトリック教会でサンタクロース人形が断罪され火刑に遭ったというのが興味深い。また、日本で初めて降誕祭が行われたのは、16世紀の山口で、現在のクリスマスミサとは異なるその模様の紹介も一興。
戦国時代のキリシタン弾圧は、日本がキリスト教国の属国になることを防いだとの著者の言は一考に値する。お祭り色の強い日本のクリスマス文化は、力で押してくるキリスト教文化の侵入を防ぐ知恵だったのではないかと著者は説く。
【本体840円+税】
【講談社】978-4062884013