【雑誌紹介】 『カトリック生活』 1月号

教える人か、伝える人か
長崎教区司祭の古巣馨が「ある預言者の生涯」として11月17日に地上の生涯を終えたセバスチアノ川添猛神父について《預言者は、風と潮目を読み、無駄な議論をせず、すぐさま仕掛けていくものです。……それでも報われない寂しさが漂います。島原半島は原城での殉教記念ミサで、川添神父は告白にも似た話をしました》と記す。
《「みなさん、私はけっこういい加減に神父をしているように見えるかもしれませんが、これでも自分では、かなり頑張っているつもりなんです。でも一つだけ、今日は正直に告白します。あくびしながら難しい哲学や神学をラテン語で教わって、何とか神父を五十年近くしてきましたが、結局は口ばかり達者で、なぁーんにも伝えきらんやったと、今しみじみ思います。それに引き換え、私の親父やお袋は尋常小学校しかでとりませんが、十一人の子どもを育て、よーく神さまのことを伝えてくれました。それは見事なものでした。私は、必死で教えようとしましたが、親父やお袋は、貧乏な暮らしの中で、そーっと伝えようとしました。教える人か、伝える人か、その違いでしょうな。このごろ、やっとそのことがわかってきましたが、遅きに失しました。イエスさまと教会のことを、あんまり、難しゅうしたらダメだということですたい」》と。
《この人は本当はしっかりと神を垣間見せ、み言葉を伝えてくれた預言者でした》。
特集『「時」を想う』。編集部が『「時」を想いめぐらす小事典&「時」の言葉集』をまとめている。
【本体200円+税】
【ドン・ボスコ社】