【雑誌紹介】 『福音と世界』5月号

特集『聖書とお金』≪ともすれば「富」が「神」よりも強大な力を持ち、皆がその追求に奔走する資本主義経済の中で、キリスト者は何を指針に、どのような生き方を選び取っていくべきなのか、そして教会の役割とはなにか……≫編集者。
連載『佐藤優のことばの履歴書』。作家、翻訳家など多方面で活躍した米原万里が2006年死去してちょうど10年。≪米原氏が亡くなる4カ月くらい前のことだったと記憶している。「話があるから家に来て」という電話があったので、筆者は鎌倉の米原邸を訪ねた。……そのとき米原氏から「最近、近所のお寺に墓を買った」という話があり、その後こんなやりとりになった。
米原「父と母が唯物論者だったんで、私も唯物論者として死にたい」
佐藤「わかります」
米原「仏教には神様はいないって話を聞いたけど、ほんと?」
佐藤「ほんとです。仏教にはキリスト教やユダヤ教が想定する神はいません」
米原「よかった。これで安心して墓に入ることができる」
佐藤「もっとも神は無神論者にとっても、唯物論者にとっても働きかけます。だから、僕は米原さんのことをいつも神様に祈っています」
米原「それはどうもありがとう」
そう言って、米原氏は筆者の手を握った。無神論者を自認していた米原万里さんも神様に愛されている一人なのである≫と。
【本体588円+税】
【新教出版社】