【書評】 『詩集 我が家に天使がやってきた――ダウン症をもつ周とともに』 服部剛
キリスト者である詩人の著者は、誕生した息子に敬愛する遠藤周作に因み「周」と名付ける。
その後医師から、息子の染色体は一本多く、ダウン症だと告げられる。
恩師の「その一本多い染色体に天の願いが込められている」という言葉を受け、家人と共に息子が授かった賜物を探す決意をする著者。
「目覚めた周が/すろーもーしょんで/笑顔を開いた」(秋の運動会)
「無垢に澄んだ君の瞳と/互いの瞳を合わせる時/僕等の周囲は天になる」(風呂屋・湯快爽快にて)
あとがきで「ダウン症をもつ人は、能率や経済が優先される社会で人々が置き忘れた〝大切な何か〟を直感で知っている」と語るが、息子が授かった賜物を通し、著者も「大切な何か」につながっていることを感じさせる。
息子や家族への愛情、キリストへの畏れや祈りが織り込まれた作品から、戦前のクリスチャン詩人、八木重吉の姿を彷彿とさせる。
【本体1,200円+税】
【文治堂書店】978-4-938364-34-2