【書評】 『証言者たち――厳律シトー会 アトラス修道会の七人の殉教者』 ベルナルド・オリベラ 著/木鎌安雄 訳

1996年にアトラス修道院(アルジェリア)の7人の修道士が、テロリストに拉致され、惨殺された事件から約20年。
同修道会元総長の著者が、当時の社会情勢や修道士たちの日記や遺言、拉致を逃れた修道士の証言などを手掛かりに、出来事の本質に迫った。
事件の3年前、テロリストは初めて同修道院を訪れ彼らを脅す。以来、修道士たちは命の危険が高まる中、現地に留まりイエスに倣う道を改めて選ぶ。近隣のキリスト者や修道士らが殺害されていく中で、神の道具になることに邁進していく修道士たち。
彼らはテロリストを「山の兄弟たち」と呼び、対話を求め隣人として接する。
最後の日記には「あなた(イエス)の近くで、自分のあるべき姿になる。それはささげられることだ」と書かれていた。
拉致事件の真相ではなく、事件を含めた一連の出来事に光を当てた本書。浮かび上がってくるのは、修道士たちの驚くべき信仰の姿だ。
【本体1,000円+税】
【ドン・ボスコ社】978-4886266378