【書評】 『宗教改革2.0へ――ハタから見えるキリスト教の〇と✕』 松谷信司 編著
弊社刊の「Ministry(ミニストリー)」創刊以来、「ハタから見たキリスト教」と題し、作家、漫画家、哲学者、俳優など、各界で活躍する著名人に尋ねてきた「あなたにとってのキリスト教(宗教)とは何ですか?」という問い。その中から総勢18人のインタビュー、対談を厳選し、「これまでの教会」と「これからの教会」を考えるヒントを提示する。
収録時期は2009年から2017年と幅があるが、とりわけ東日本大震災とオウム事件を意識しながら語られる言葉の数々は、1冊の本として改めて読むと雑誌掲載時とは異なる光を帯びて迫ってくる(内田樹×釈徹宗対談は、雑誌で割愛した未公開部分も含む完全版!)。信仰の有無を越えて、キリスト教に関心を抱く人々と共有できるものがきっとある。「信仰者と非信仰者の橋渡しを買って出る人」「クリスチャンと同じかそれ以上の熱量で聖書の物語を愛する人」――彼らの声に耳を傾けるとき、聖書を信者だけの専有物にしてはならないということに初めて思い至る。
奇遇にも同時期に刊行された「月刊住職」編集部編の『各界第一人者25人による今こそお寺に言いたいこと』(興山舎)と併せて読めば、来たるべき宗教改革「バージョン2.0」をより立体的に予見できるかもしれない。
【本体1,600円+税】
【ころから】978-4907239329