【既刊再読 改めて読みたいこの1冊】 『方言・民謡 琉球讃美歌 付 箴言・俚諺』 古堅宗伸 編著

『方言・民謡 琉球讃美歌 付 箴言・俚諺』(燦葉出版社、1992年)

御万人ぬ君ぬ生子や
今宵どゥ生りみしょちゃる
でィか連りてィ ベツレヘムに
急ぢ行ちゃい 拝まに
急ぢ行ちゃい 拝まに

 歌詞一行目は「うまんちゅぬちみぬうみんゎや」と読む。讃美歌111番「神の御子は今宵しも」の琉球語訳である。次は、琉球語訳の「主の祈り」である。

天なかい 居めんせーる 我等親がなしー
御名崇みらち うたびみそーり
御国引寄してィ うたびみそーり
御心ぬ 天於てィぬ如 地於てィん あらちうたびみそーり
毎日ぬ 飯糧 今日ん うたびみそーり
我等んかい 悪事する人ぬちゃー 我等が許しうる如
我等 罪ん 御赦しみそーり
我等道曲 しみそーらん如 悪むんから 御救いみそーり
国と力と栄とゥや何時までィん ぬんじゅぬ
うゑむんどゥやいびーぐとゥ

 沖縄とキリスト教の関係は1624年、ローマ・カトリック教会ルエダ神父、また1846年、プロテスタントの宣教師ベッテルハイムらに起源をもつ。ベッテルハイムらの手による琉球語訳聖書はよく知られている。

 1908年(明治41年)のクリスマス、琉球新報が、伊波普猷(1876-1947)の琉球讃美歌を紹介している。新垣信一(1887-1945)は旧・日本基督教会の牧師として、数十曲の琉球語讃歌を作曲した。これらは照屋寛範(1892-1968)「琉球讃美歌」へと続く。本書は、分厚い「沖縄とキリスト教」という伝統の集大成だ。1992年、沖縄バプテスト連盟・宣教100周年を記念し、那覇バプテスト教会と古賢宗伸らの協力により出版された。

 附録として、沖縄の「箴言・琉球俚諺」集、さらに「琉球讃美歌史考」「新垣信一牧師の業績」を収録。故・翁長雄志知事に続く、玉城デニー新沖縄県知事のもと、新たに踏み出す沖縄。その音楽史の一断面をひもとく1冊。

【本体1,942円+税】
【燦葉出版社】

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