【書評】 『女らしくなく、男らしくなく、自分らしく生きる』 露の団姫

落語家兼尼僧である著者が、日本の社会に強く根付く既存の男性観・女性観・夫婦観に一石を投じる。
小学生のころから「本当に自分らしい生き方」について考え、行動してきた著者のこれまでの苦闘が語られる中で、いかに自分の個性や人権、権利も、他者のそれも踏みにじることなく「人として」より生き生きと働き、暮らすことができるかという問いが投げかけられる。さまざまな事例を通して、「実は差別していた」「差別されていた」と気づくことが、「自分らしく生きる」ことの第一歩になる。
「仏教」「落語」に負けず劣らず、保守的体質が蔓延し、旧態依然とした男社会であるキリスト教界にあって、「自分らしい」信仰者のあり方を模索するための指針としたい。
【本体1,600円+税】
【春秋社】978-4393436561