【書評】 『VS仏教 〝ブッダの教え〟は現代の悩みに勝てるのか!?』 池口龍法、友光雅臣ほか

宗派を超えて、個性派ぞろいの僧侶たちが現代の悩みに「法話」を交えながら答えていくQ&A本。……と書くと安直に思われかねないが、本書の特徴は「そうは言っても……」と答えに承服できない相談者たちと、さらに深掘りする双方向型の対話が展開される点。
回答者は本紙連載「宗教リテラシー向上委員会」執筆者の一人である池口龍法氏をはじめ、いずれも伝統仏教が直面する課題に危機感を覚えつつ、地域社会に「開かれた」お寺のあり方を模索してきた精鋭ばかり。
立ち向かう質問は、「私の母が『毒親』なんです」「自分の仕事がAIに奪われるかも……」「アニメキャラ好きで、女性を愛せない」「友人があやしげなセミナーにハマっています」「妻を亡くした喪失感、どう向き合えば」など、なかなかに手ごわそう。
病院でもNPOでも解決できない領域に、宗教の果たすべき役割があるとすれば、それは地道な対話なのかもしれない。一方的な「ありがたい」話では飽き足りない現代人のこじれた悩みに、果たしてキリスト教はどんな答えを提供できるだろうか。
【本体1,600円+税】
【トゥーヴァージンズ】978-4908406317