【雑誌紹介】 最も耳を傾けるべき言葉が 『福音と世界』6月号

特集「ヒップホップの福音」。「サグ・アナムネーシス――ならず者たちが見る新しい世界」(山下壮起=日本キリスト教団阿倍野教会牧師)、「間違ってることを正しいと歌わない――日本の“コンシャス・ラップ”の現在」(二木信=音楽ライター)、「「情報戦争」時代における文化――星野源、A-THUG、Kamuiから考える」(五井健太郎=東北芸術工科大学非常勤講師)、「あなたは私に耳を貸すべきではない」(高島鈴=ライター)、「<小説>金田満子のドープなリリック」(飯田華子=紙芝居作家、パフォーマー、イラストレーター)、「<インタビュー>生活のコンシャスネス MCビル風の物語」(MCビル風 a.k.a.ヤングハイエース=会社員、ラッパー、toxic memorials ベースプレイヤー)。
前文で編集者が「『ヒップホップ・レザレクション』の視座を受け継ぐ本特集では、ヒップホップの福音をさらに強く志向する。ヒップホップは、分断され傷つけられたならず者(サグ)たちが死んでいった友を想起(アナムネーシス)する営みである。それは、社会の酷薄な秩序から見放された者をも抱きとめる新しい世界を垣間見せる。ヒップホップは、現実に終末、いまここに天国を到来させる救済の音楽文化なのだ」と記す。
「編集後記」には「▼おじさんが自虐する身振りは好きでないのですが、ヒップポップには降参です。どこがいいのかわからない。体に染みついた音楽の趣味が頑強に抵抗する。でも、クラシック漬けで育った娘は今やヒップホップしか聴かない。同僚も大好き。かなり包囲された感がある。ただ、詩の朗読として聴くなら凄いと思う。日本語で押韻がこんな形で可能になるとは! 内容は? もしかしたら今この時代に最も耳を傾けるべき言葉がここにあるのかもしれない。……(小林)」と。
【本体588円+税】
【新教出版社】