【書評】 『仁義なき聖書美術』旧約篇&新約篇 架神恭介、池上英洋
『仁義なきキリスト教史』でおなじみの著者。『芸術新潮』で2回にわたり特集された「仁義なき聖書ものがたり」から、2016年6月号「ザ・旧約聖書ストーリーズ すべては神ヤハウェから始まった」、2017年8月号「四福音書(ゴスペル)は語る イエスは斯く生き、斯く死に、斯く甦った」の記事を再編集したガイドブック。
大親分ヤハウェ、中間管理職モーセ、鉄砲玉ダビデ、カリスマ親分イエスと十二人の舎弟による丁々発止。西洋絵画に描かれた聖書の登場人物から、広島弁で饒舌にまくし立てる声が聞こえてくるようで不思議だ。
美術もキリスト教も、庶民にはとっつきにくいインテリ向けの高尚な文化と思われがちだが、こうした「二次(三次?)創作」が原作への興味関心に導く呼び水となることは間違いない。
美術史とキリスト教が密接な関係にあることも再確認できる。
【本体1,600円+税】
【筑摩書房】978-4480874054