【雑誌紹介】 教会から距離を置いた理由 『福音宣教』8・9月号

 フォーラム「『教会に来てほしい』と語る皆様へ」で文筆業の栗田隆子が「教会から距離を置い
た理由」について語る。

 「教会からなぜ距離を置いているのかを語る際に、まず一つ問題提起をしたいのです」

 「今の日本の教会、特に私が知る限りで首都圏や近畿圏、さらに富裕層や中流階級の人々が多く住む地域の教会において教会は『地の塩』ではなく『地の地』あるいは庶民の草の根レベルにおける存在の軽さからいえば『地の埃(ほこり)』になってしまっている、という問題提起です」

 「教会では、私のような独身年配女性・非正規労働者が不安を話せる人も場所もありません。というのも従来のカトリック教会は、例えば私がかつて所属していた教会で言えば『ヨゼフ会』(主にお父さんたちの集まり)、『マリア会』(主にお母さんたちの集まり)、『青年会』(若い人の集まり)、『日曜学校』(子どもたち)といったようなグループは存続していました。近代家族、核家族のイメージをそのまま当てはめたような形で教会の信徒グループも形成されていました」

 「しかし現代社会ではむしろ、私のような独身の人間も増えてきました。日本社会で最も多い家族形態は一人暮らしです。私が最もよく教会に通っていたのは約三〇年ほど前になりますが、その時代は、いわゆる『専業主婦』が教会のさまざまな雑務、庭掃除や花の手入れ、清掃、さらにはキリスト教講座まで担っていました。しかし今や専業主婦は減少しています。そして私たちの世代は『結婚したくてもできない』人と同時に『結婚する意味が見出せない』人も増大しています。教会を支えてきた『主婦層』がそのまま高齢を迎えている。少なくとも私が通っていたいくつかの教会はそういう状態でした。その中で先ほどのような独身で非正規で生活保護を利用してますなどと自己紹介をすれば完璧に言って『浮く』のです」

【本体600円+税】
【オリエンス宗教研究所】

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