【書評】 『若者から若者への手紙 1945←2015』 落合由利子、北川直実、室田元美 著
「70年」の節目にふさわしい書籍の誕生を歓迎したい。1945年当時「若者」(9~25歳)だった戦争体験者15人の証言を読み、2015年現在、同じ「若者」(16~28歳)として生きる15人がそれぞれに手紙を書くという試み。はるか遠い昔話としてではなく、同世代が体験した物語として、今日の社会情勢にも引きつけて読み直す。
東京大空襲、シベリア抑留、原爆、満蒙開拓団、七三一部隊、沖縄戦など、多岐にわたる証言に対し、瑞々しい感性で綴られる率直な手紙。延べ30人によって浮き彫りにされる、戦争という人類の「罪」の実相。
洗練された写真とレイアウトで、いわゆる「証言集」とは明らかに一線を画する。「今の若者があの時代を想像しきれないとすれば、それは『証言』を伝える私たちの責任」とのあとがきが、「伝える」ための覚悟を問う。
【本体1,800円+税】
【ころから】978-4907239152