【書評】 『ルカ福音書を読もう 上 この世を生きるキリスト者』 及川 信
これまでもいくつもの説教、黙想集を執筆してきた著者による黙想集。ルカ福音書を上下それぞれ40回に分け、上巻は12章までを扱う。文脈を重視してルカ福音書を1冊の書物として読むことで、「イエス・キリストは誰なのか、自分とは何なのかを考え続ける」(はじめに)ことを目指す。
本書は、各黙想の間にあるつながりに注目して読みたい。該当の聖書箇所を開けば、例えば7章36節からの「罪深い女の赦し」と、それに続く8章1節以降の流れを感じ、「罪深い女」が「奉仕する婦人たち」に加わるイメージが湧いたり、彼女が神の国を得た幸いもより鮮明になってくる。
「はじめに」の概論も踏まえつつ、本書を手がかりにルカ福音書の豊かさを味わおう。
【本体2,600円+税】
【日本キリスト教団出版局】978-4818410671