シンガポールで駐在員として働く著者は、人生半世紀を前に聖書と出会い、イエス・キリストと出会って救われました。聖書の理解を深めるにつれて、ぜひここに書かれている真理をご自分の家族、友人、そして同胞の日本人に知ってほしいと願うようになりました。しかし、イスラエルを中心に描かれている聖書の世界は、日本人が理解するには、地理的にも、時代的にも、そして、文化的にも大きな隔たりがあります。その隔たりをなんとか埋めることによって、実は日本人にも普遍的に適用される内容であるということを知っていただきたいと願って書き上げた作品です。
教会の一信徒である著者は、読者と同じ目線に立ち、まずは聖書への偏見や先入観を取り除くことを目指して、主に理性に語りかけます。しかし、著者自身が経験したように、やがて真の神への信頼に至ってほしいという願いを込めて、詳細なリサーチを繰り返し、推敲を重ねました。 今、日本は、相次ぐ天災やコロナ禍の中で、自分がどこから来て、何のために生き、どこに向かっているのか分からなくなっている方々が多くおられると思います。この書を通して、その疑問を解決するヒントが与えられ、平安と希望をもって生きられる方が一人も多く起こされることを心から祈ります。
(評者・松本章宏=日本基督教団在外教師)