【雑誌紹介】 自由を奪われた人の人権と尊厳 『福音と世界』4月号

 特集「監獄という問題」。「産獄複合体について――公共の敵、資本主義、アボリショニズム」(アンジェラ・デイヴィス)、「自由を奪われた人たちの人権と尊厳の保障を求めて――入管収容と刑事拘禁を中心に」(海渡雄一)、「ネーションを超えた反『入管体制』運動の遺産」(廬恩明)、「<監獄化>状況に住まうこと」(友常勉)、「長い道をトボトボと歩いている――私の人生と救援連絡センター」(宇賀神寿一)。

 連載「古代イスラエル文学史序説――聖書文学の発生と展開 2 文学史の構想 2」(勝村弘也)。「シュミートの文学史の大きな特徴は物質的な条件を重視したことである。第二章第二節の『文書作成の素材的諸局面』では、この問題を考えるに際して資料を提供するのは、旧約からの証言、同時代から残された碑文、クムラン出土の巻物群の三つだとしている。このような観点を考慮してシュミートが文学史の時代区分に関して出した結論が、グンケルが別の観点から出した結論と一致する点があることは興味深い」

 「ここでは、旧約時代の文学が何にどのように書き記されたのかについて、シュミートの議論を参照しながら考える。地中海世界では、東アジアのように文書を作成するのに早くから紙が使われたわけではなかった。日本では紙が普及する以前に公文書が木簡に記されていたことはよく知られている。木簡には長大な文学作品を書くことは不可能だった。紙の巻物が登場してはじめて、神話、物語、和歌集などの書承が可能になったのである。このように物質的条件を考えておくことは、文学史の叙述にとって基本的な要件である。古代オリエント世界で文字の発明以後に、それが何に書き記されたかというと、周知のようにメソポタミアでは碑文の他に粘土板が用いられた。古代エジプトではヒエログリフで碑文にファラオの事績が記され、墓の壁面には呪文などが書かれた。また、木の棺に死者の来世での復活を願う呪文が直接書かれることもあった。しかし、公文書の記録や手紙などにはパピルスが用いられた。現存する新約の最古のテクストがパピルス文書として残されていることは、ローマ時代にはパピルスが流通していたことを証拠立てている。ギリシャのポリスにおける投票などには陶片が使用された。商品として運ばれた葡萄酒の壺に文字が書かれることは、地中海世界では古くからよく見られ、古代イスラエルでも同じであった」

 「糸で綴じられた本、つまりコデックスとして残されているギリシャ語訳聖書(LXX)の場合は、羊皮紙に書かれているが、このような写本が大量に生産されたわけではない。制作するのに非常な資金を要したからである」

【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】

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