【雑誌紹介】 未来のない罪人もいない 『福音宣教』6月号
「アンジェラスの鐘――父娘対談(二)神様からの約束」(将棋棋士、著書『だから私は、神を信じる』の父・加藤一二三と『<生きる意味>の教育――スピリチュアリテイを育むカトリック学校』の著者、娘・加藤美紀)。
「娘 そういえば、パパってほんとに昔から、一度終わったことは決して蒸し返さないよね。それはほんとにそう思う。一度済んだ話を後になってから蒸し返すってことが今までなかったな。過去を吹っ切るのが勝負師の条件みたいなことをどこかで書いてたよね。」
「父 例えばね、聖ヨハネ・パウロ二世は、『人が過去を振り返ることは、将来に対して責任を持つことだ』とおっしゃっている。それは真理だと思う。でも個人的なことで言うと、だって、三〇年前のことをさ、思い出したってそんなもの帰ってこない。ま、これは人生観いろいろあるんだけども、コルベ神父はこう言っているよね。『過去は奇跡をもってしても帰ってこない』。そうでしょ? そんなもの考えてもダメなんだよ。でも一方で、教皇は『過去を振り返ることは将来に対して責任を持つことだ』とおっしゃっていて、両方だよね。明日はわからない。わかるのは現在だけだよね。ま、ちょっと偉そうなこと言うんだけども、例えばね、僕の知識の中ではね、ピアノの巨匠でもミスをする。だけど、外国人の巨匠は、あっという間に立ち直るんだって。日本の優れた演奏家はミスをすると立ち直りが遅い傾向があるってことをね。」
「娘 それ、芥川也寸志さんがパパとの対談の時に教てくださった話じゃなかった?」
「父 そうそう、だからね、過去のことを振り返ることは大事だよ。でもあんまりさ、振り返ってもどうしようもないことを振り返っても仕方ないくらいの気持ちはあった方がいいんじゃないか。」
「娘 過去と未来の話で言えば、今のフランシスコ教皇が『過去のない聖人はいないし、未来のない罪人もいない』っておっしゃってるよね。」
「父 そうそうそうそう、それいい言葉だね。」
「娘 そういう、過去は変えられるっていう意味で振り返るのが大事なこともあるし。」
【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】