【雑誌紹介】 ラテン語に忠実であるように 『福音宣教』2月号
座談会「今までが『暫定的な認証』であったという認識」(新しい「ミサの式次第と奉献文」をめぐって=第二回)。
日本カトリック典礼委員会委員の座談会。「聖書と典礼」編集長の石井祥裕が、典礼委員会前委員長の梅村昌弘(横浜教区司教)に、「教皇様に窮状を訴えたということでした。そして「よくわかった」と教皇が答えてくださったという時に、訴えられたという内容はどういうものだったのでしょうか。日本の教会が困っている、どんなことを訴えられたのでしょうか」と聞く。
梅村が「やはり翻訳の問題です。二〇〇一年に出された典礼式文に関する翻訳の指針『リトゥルジアム・アウテンティカム』に、とにかくラテン語に忠実であるように、とあり、その指針が出た頃に私は典礼委員会の委員長を引き受けました。いつもその指針が頭にありました。典礼秘跡省との交渉事なので、実際のやり取りをしていて感じたことなのですが、それは日本語がいかにラテン語から遠いか、ということです。……同じメロディーにイタリア語とラテン語を両方乗せられるんです。それほど近いというわけで、それに比べたら日本語との距離はすごいなと思います。そうした文化を背景にした言葉の問題を含めたミサ典礼書の日本語翻訳を、誰がどういった形で精査するのか、という問題です。それを私ははっきりと(教皇様に)申し上げたのです。それが一番の問題だと思います」と答える。
梅村が「私、二〇〇一年六月の司教総会で、典礼委員会の委員長を正式にお引き受けする前に、司教協議会会長だった野村純一司教が私にまずおっしゃったのは『一度も日本は正式認証を取っていない。暫定認証なんだ』ということでした。それも規範版の第二版どころか第三版も出されるということを、会長として典礼秘跡省に指摘されたのです。『(司教協議会会長として)、正式な認証をきちっと取らなければいけない。そのために協力を仰ぎたい』ということを言われました」。
石井 司祭になった頃は今の『ミサ典礼書』があったわけですよね。つまり、新しいミサが落ち着いたころで司祭職を始められたという実感があったわけですよね。
梅村 はい、八五年の叙階ですが、その当時は七八年に出た『ミサ典礼書』をもって完成版だと思っていました。司教になって初めて「暫定認証だ」って言われて。
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【オリエンス宗教研究所】