【書評】 『江田智昭が語る お寺の掲示板入門』 江田智昭

 「お寺の掲示板大賞」が始まって早5年。すでに2冊の著書を上梓してきた〝仕掛け人〟の著者が、月刊誌『大乗』での連載「ご機言!お寺の掲示板」をもとに書籍化。寺院関係者向けの手引きとして出版した。

 自らのあり方を問うような含蓄のある言葉から、小説や漫画、有名人などの身近に感じられる言葉まで、日本中のお寺の掲示板から厳選して解説。

 インターネットを使って、誰でも情報を発信できる時代になった一方、「掲示板を使って情報発信できる人はかなり限られている」と、お寺の可能性に着目する。それは、教会の掲示板にも共通しているに違いない。「誰かに伝えたくなる」短いフレーズこそ、伝道において力を発揮する。

 著者とテレビで共演したタモリさんが、2年後に別の番組でも掲示板で印象深かった言葉に言及していたことを例に、「掲示伝道の醍醐味は『掲示板を読んだ人が伝道の当事者になる』ということではないか」という。

 「伝道を行う主体は、決して僧侶だけではありません。現在、社会的に成功している大半のプロジェクトの共通点は、多くの人びとを当事者として巻きこんでいるところにあると言われています」

 「現在、浄土真宗の教えにある程度精通している方は日本の人口の1パーセントにも満たない……。残りの99パーセントの方々や外国人の方にどのように教えを伝えるのか? それを真剣に考える時がきているのだと思います」と著者。

 同じ「1パーセント未満」同士、言葉を生業(なりわい)とする宗教者として、アナログでありながらデジタルとの親和性が高い「掲示板」を用いた新しい伝道について、ともに考えたい。

【1,100円(本体1,000円+税)】
【本願寺出版社】978-4866960449

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