【雑誌紹介】 「神の正義」を語る前に… 『福音と世界』6月号

 特集「世界教会協議会(WCC)第11回総会」。「キリストの愛が世界を和解と一致へと動かす」を主題に、2022年8月31日~9月8日にドイツのカールスルーエで開催されたWCC第11回総会。青年(ユース)枠として日本基督教団から派遣された伊勢希(京葉中部教会牧師)が、「WCC総会からみるエキュメニズムの未来」と題して、この総会の中で抱いたという「違和感」について記している。

 「違和感を覚えた要因の一つは、すべてのプログラムにおいて耳にした“justice”という言葉にあると思う。『正義』と訳されるこの言葉は、中央委員会のどの報告にも必ずと言ってよいほど記されていた。もちろん本総会における“justice”は『神の正義』(神による正義、神のもとにある正義)という意味で用いられているのだということは理解している。けれども、当然のことながら、その『正義』について総会参加者の一人ひとりが違う考えを持っているのだということ、そしてその違いは思っていた以上に大きいのだということが徐々に明るみになっていった」

 「確かに『神の正義と平和に向かって』などの言葉は人々を鼓舞する。悪者がいれば、人々はより団結するだろう。しかしその時、私たちには気をつけなければいけないことがある。それは『神の正義』を語る前に、自分の中にある『正義』を自己批判的にしっかり捉え直さなければいけない、ということだ。私たちは決して自分の中にある正義と『神の正義』を混同してはいけない。けれども時に私たち人間は、それらを混同してはいないだろうか。まるで自分の正しさが神の正しさであるかのように語っている時はないだろうか」

 「私の記憶の限りでは、ロシア正教会からの参加者が総会中に意見を述べたのは一回だけであった。……今、ロシアがウクライナでしていることに話題を移そうとすると、そこには踏み込ませまいとする空気感を出された。いや、彼ら自身も語れない状況にあると言って良いだろう。……大事なことは、物事を一面的に見るのではなく、例えば一方が話せない何かがあるとしたら、その話せない理由は何か、何によってこの人々の言論の自由は奪われているのか、その根っこに思いを向けることではないだろうか」

【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】

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