【雑誌紹介】 心を開いて日常を見直す 『神学ダイジェスト』2023年夏号

 特集「神学的人間論の現在」。同誌編集長の光延一郎(上智大学神学部教授)が、「『神学的人間論』未完の展望」と題して巻頭言を記している。

 「『神学的人間論』とは、どのようなものなのでしょうか? それは一言で言えば、人間の起源と運命をイエス・キリストにおける神の啓示に照らして解釈し、人生の精神的・倫理的な方向づけを考えるものだと言えるでしょう」

 「神学とは、人間の『救い』が何であるかを客観化していく営みです。その前提のキリスト教信仰は、生の究極的な意味や可能性を神との出会い、またその焦点であるイエス・キリストに見出していきます。そして信仰による『救い』が起こる場は『私』という『人間』です。それゆえ『神学的人間論』とは、神との出会いの主体たる『人間』を私自らが確認する営みだといえます」

 「このような神学的人間論は、罪や恵みという霊性(スピリチュアリティ)を生きるためには必須の人間の内面の機微を見分ける繊細なセンスを求めます。また他方で、神の創造や終末という、通常の生活の視野を超えた壮大なスケールで世界と人間を眺める視点も必要です。……時間と空間に対して私たちの心の眼差しを無限に開いて私たちの日常を見直す学びはとてもスリリングです。こうした宇宙の初めと終わり、その起源と目標に向けて私たちの視線を極微と極大を柔軟に行き来させることは、神を忘却し、世界内の歴史・空間に限定された思考の中で出口を見出しえず、閉塞にあえぐ現代文化から解放されるためにきわめて重要な展望であると思います」

【640円(本体582円+税)】
【上智大学神学会】

書籍一覧ページへ

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘