【雑誌紹介】 変化は常に少数者から 『福音宣教』7月号

 月間テーマ「いのちを脅かす原発を廃絶するために」。「脱原発を果たしたドイツでは、カトリック・プロテスタント両教会がこの政策に大きな影響を与えました。日本カトリック司教協議会も『今こそ原発の廃止を』という文書を発行しています。日本のキリスト者はドイツほど多くありません。しかしどんなに少数であっても、いのちと平和に関する国の政策がおかしいとき、キリスト者は沈黙していてはいけません」と編集部。

 日本福音ルーテル稔台教会牧師の内藤新吾は「原発政策大転換の愚か」と題して、政府が重視する「核燃料サイクルの整備の加速」に着目する。

 「日本が再処理や高速炉開発など原子力にここまでこだわるのは、実はエネルギーのためではありません。本当の狙いは別にあり、それは核武装です。このことは、日本が原発導入を決めたときの原子力基本法案の議案説明でも、また、岸信介元総理をはじめ歴代の大物政治家たちが何度も口にしてきたことです」

 「日本以外の再処理工場を持つ国はすべて核兵器保有国です。日本の場合は、いつでも転用できるよう準備しておくということが一九六九年作成の『我が国の外交政策大綱』に記されており、この方針はずっと継承されています。ただ単にアメリカから原発購入を勧められ、エネルギーと利権のためにだけ買った国とは、日本は違うことを、私たちは警戒しなくてはなりません」

 上智大学外国語学部教授の木村護郎クリストフは「自分からはじめるエネルギー転換」を提言。

 「再生可能エネルギーの多くはエネルギー密度が低い、すなわち同量のエネルギーを生むために多くの土地や空間が必要である。よって、再生可能エネルギーに切り替えることが、より大きな環境負荷をもたらさないためには、省エネ・節電が前提となる。日本では、生活水準が下がるのではないかと、節電や省エネを否定的にとらえる考え方が脱原発が進まない一因になっていることは否めない。このような懸念に対して、豊かに生きる異なるモデルを示すことに、キリスト者の一つの役割があるのではないだろうか」

 「変化は常に少数者からはじまる。今日の『変わった人たち』が明日の常識をつくるのである。ドイツでは、市民が自分たちで太陽光発電などをはじめたのがそもそもエネルギー転換の源流にあった」

【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】

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