【雑誌紹介】 現代人の歪んだ正義非暴力のイエスに従う 『カトリック生活』8月号

 特集「『正義』という危うさ(前編)」。特集に寄せて、同誌編集長の関谷義樹(サレジオ会司祭)が言う。「近年ニュースで問題視されていることといえば、あおり運転、虐待やいじめ、DV、SNS上での誹謗中傷などがあるが、ときおり事件後に加害者の側に反省がなく、相手の尊厳を踏みにじっている自覚がないような報道を目にするたびに、何か現代人の中の正義が歪んできているように思えてならない」と。

 フランシスコ会司祭の小高毅が「正義を完成させるもの」と題して指摘する。

 「正義ということを考えると、現代社会においては裁きの言葉が蔓延しているように思います。一方的に裁く側に立って、他者を断罪し、ときには悪意のある言葉、怒りを投げかけるのです」

 「戦争に関しても、経済格差に関しても、先進国の日本の経済は、世界の構造のさまざまな不正義の上に成り立っていることを理解する必要があるでしょう。私たちが生活を享受している背後に苦しんでいる人がいる。不正義の上での平和や安定があるのです」

 「宗教的、道徳的な価値観が、最近薄れていっている結果、正義や不正義が、制度的あるいは社会的な視点だけで取り上げられています。キリスト教に限らず、宗教者あるいは信仰者は、今の社会が超自然的存在、神の存在を排除しているということをもっと自覚しなければいけないと思います」

 「絶対的な存在、無限なるものに対して、自分を相対化して捉え、有限であること、小さいものであること自覚すること。神の前での自分の汚さ、弱さ、罪、あらゆるマイナスの面を凝視して反省し、神にゆるしを願わなければならない自分。同時に神のもとで、ゆるされ、恵みを受けて生きているプラスの面をしっかり見つめる。これが宗教的な視点、姿勢です。それを忘れて自分を絶対化し、神なしに、自分を中心に置く正義は非常に危ういものとなっています。周りと比較して安心する優越感、あるいは劣等感によるルサンチマン(恨み)を、人を叩くことによって晴らすというような動きが見え隠れしています」

【220円(本体200円+税)】
【ドン・ボスコ社】

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