【雑誌紹介】 「あらゆる場所は戦争なのだ」 『福音宣教』11月号

 文筆家・栗田隆子が連載「栗田隆子と、フェミニスト神学に学んでみよう!」第10回「NICEを振り返る(その2)」で、アイルランド出身の歌手で活動家のシネイド・オコナーが今年7月26日に56歳で亡くなったことに触れている。

 「彼女が一九九〇年に『Nothing compares 2U(邦題では「愛の哀しみ」)』で世界的なヒットを飛ばした時期は私がちょうど一〇代の頃だった」

 「その二年後の一九九二年。……ボブ・ディランのデビュー三〇周年を記念したライブで起きたシネイド・オコナーにまつわる事件を知った。彼女がこのライブで歌おうとした時、ものすごいブーイングが起こり、当初歌う予定だったボブ・ディランの曲を歌えず、その代わりにボブ・マーリーの『War』を歌ったのだ」

 「ブーイングの理由として『本当の敵と闘えfight real enemy』と言って『ローマ教皇(ヨハネ・パウロ二世)の写真を、「サタデー・ナイト・ライブ」(米国のコメディー番組)の生番組で破ったから』だと報じられた」

 「ご存知の方もおられるかもしれないが『War』は、肌の色の違い、一流と二流市民の間の差別が永続的に打ち捨てられることを希求し、そのような差別が起きている全ての場所は戦争なのだと歌っている。歌詞はジャマイカ英語まじりのボブ・マーリーのものだが、シネイドが歌詞を替えて歌った箇所がある」

 「『……そう児童虐待、児童虐待という卑劣で不幸な支配、人間以下の束縛が完全に破壊されるまで。あらゆる場所は戦争なのだ』(引用者による私訳)」

 「ローマ教皇の写真をアメリカで破るというのは、どれくらいの衝撃なのだろう。例えば日本で天皇の写真を破るようなことだったのだろうか。教皇の写真を破った理由が『カトリック教会の性虐待や性暴力に抗議するため』と知り、自分の無知に愕然としたのはずっと後のことである」

【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】

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