【雑誌紹介】 十字架と復活に結びつく再臨 『信徒の友』11月号

 特集「再臨――今を生きる希望」。「再臨について語られてきたこと」と題し、原田彰久(東京聖書学校教授)が論じる。

 「最近、インターネットの動画サイトなどで、黙示録や世の終わりを短時間で簡潔に説明しているそうです。そのほとんどは、『ディスペンセーション主義千年期前再臨説』に基づいています。再臨について初めて聞いた、新しいことだなどと安易に飛びつく前に、これが聖書理解の一つであることに注意しましょう」

 「また今日、キリスト教終末論は環境問題や人権問題などからもさまざまな視点で語られます。そこでは再臨などの世の終わりに関する聖書の記述は、今なお、一部で妄説や迷信、あるいはカルトや異端の温床と見られているでしょう。特に、終末の大災害を強調するなど、大衆に受ける過激な主張も見られると指摘されています。それゆえ私たちは再臨について語ることをためらうのだろうと思います。その意味でも、終末についてどのように語られているか、確かに注意しなければなりません」

 「むしろ再臨は、イエスの十字架と復活に深く結びついた福音です。それだけに、感謝と恵みの出来事として『主の再び来りたまふを待ち望む』者でありたいと願わされます」

 上智大学キリスト教文化研究所所員の香川雅子は『イエスは今、ここにいてくださる』と題し、遠藤周作にとっての再臨を紹介する。

 「イエスの十字架の苦しみに『なぜ神は沈黙しているのか』。原始キリスト教団は、この謎を抱えていたと遠藤周作は言います。そして、『イエスは既に復活し、再臨していた』というのが遠藤の答えです」

 「遠藤の作品にみる再臨の希望とは、無力のまま死んだと思っていたイエスが復活し、それぞれの人の心によみがえるだけでなく、私たちのそばに寄り添っているという感覚です。この感覚が、時に自分では思いもよらない愛の行動を私たちにとらせます。これを、遠藤が示す再臨ととらえてもよいのではないでしょうか」

 「イエスは、嘆く人々に寄り添い、共に悲しみ涙を流しました。そればかりではなく、自分を裏切った人、苦しめた人のためにも惜しげなく命を落としたのです。それが奇跡なのだと遠藤は言います」

【600円(本体545円+税)】
【日本キリスト教団出版局】

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