【雑誌紹介】 誰のために時間を使うのか 『BIBLE&LIFE 百万人の福音』1月号

 特集「時間の使い方――『タイパ』重視で手に入れたいものは何ですか?」。桜井智恵子(関西学院大学人間福祉学部教授)が「『タイパ』あなたの忙しさは誰のため」と題して論じる。

 「費やした時間に対する結果の満足度を表して『タイム・パフォーマンス』、これを略して『タイパ』というようになりました。この和製英語を広げたのはビジネス業界です」

 「『効率的であること』=『タイパ』は自分を管理することです。これまで適正な労働時間によって自由な時間をもつのは、自分の手で時間を管理することと考えられてきました。ところが現代は、その自分で管理しているはずの時間が、意識が、もっと消費するようにという働きかけにのっとられています。時間を無駄なく使い、生産的な人間として生きていくには自分ががんばるしかないと、多くの人が時間を投資する『個人企業家』になっています。プライベートと仕事の時間、労働と消費の境が溶けていくようになっています」

 「私たちはインターネットを通して勧められた製品を買い、買ったものに関するコメントをネット上に残し、時にスマートフォンの生体認証や監視を受け入れ、共同の財産である水まで環境悪化のため購入し、原子炉の近くで生活しています。もっと便利にもっと豊富に、の果てに、富が集まるグローバル資本のために自分を忙しくするようになっています」

 「聖書的タイパは小さき者との歩みの中に」と題して自身の思いをつづるのは、松原宏樹(「小さな命の帰る家」代表)。29年間牧師を務めた後、現在は障がい児の養子縁組の働きに専念しているという。

 「今の日本は、現代の価値観で優秀と判断された者が幸せになる、強者が生き残り、弱者は淘汰(とうた)される社会です。出生前診断による命の選別も始まり、障がいがある子どもは、生まれることすら許されない現実があります。教会も例外ではありません。健常者ばかりが集う会堂に彼らが居場所を見つけることができるでしょうか。決して批判をしているのではありません。よく祈り、よく奉仕し、多く献金する人を『霊的』と、私自らが勘違いしていたのですから」

 「しかし聖書は、神が造られた人間の本来の生き方を明示しています。『これらの…最も小さい者たちの一人にしたことは、わたしにしたのです』(マタイ25・40)と。人が誰かの人生に寄り添い、その時間に合わせ、共に生きることは、それ自体が極めて非効率なことです。しかしその価値観を越えて、小さき者と共に生きることは、神の側にいること、神と共に歩むことなのです」

【690円(本体627円+税)】
【いのちのことば社】

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