【雑誌紹介】 「無関心」との戦いの先に 『カトリック生活』1月号

 比較文化史家・バロック音楽奏者の竹下節子による連載「カトリック・サプリ」は「信じることは気づくこと」。

 「アメリカ発のグローバリゼーションの流れの中で、『キャンセル・カルチャー』という現象が広がっている。現時点での善悪、正誤の価値観によって歴史上の人物や過去の文化などの価値を判断して、今の基準に合わせて修正したり抹消したりすることだ。王子さまが眠るお姫さまに口づけして起こすおとぎ話などまでが『不適切』だとされる。子どものしつけについても、昔は普通に受け継がれていたものが今では虐待として罪に問われる場合もある。こんな風に『価値観』がどんどん変わっていく社会ではもう『何を信じていいかわからない』と思う人が少なくない」

 「キリスト教で『三元徳』と呼ばれるものに『信仰』と『希望』と『愛』があるけれど、三位一体と同じように、その三つはばらばらで不動のものではなく、互いの関係性の中にある。『信者』と呼ばれる人にとっても、『信仰』は『疑い』や『葛藤』、それらよりもっと危険な『無関心』と絶えず戦って維持するものだろう。そのためには、『同じ信仰』をもつ者同士で内向きに過ごしていてはだめで、異なる価値観をもつ社会や人々との共生ばかりでなく交わりが必要だ。信仰や文化の形は、ある時代における多数派や政治的公正やさまざまな力関係によって一方的にキャンセルできるようなものではない」

【220円(本体200円+税)】
【ドン・ボスコ社】

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