【雑誌紹介】 再起の起点としての復活 『福音と世界』4月号

 特集「復活と世界――復活の社会化、共同化」。桜美林大学准教授でチャプレンの佐原光児が「再起への約束――教育現場における復活の意義」と題してつづる。

 「キリスト教において重要事項である『復活』は、使徒信条にあるように、教会では死からの復活や身体の甦りが強調される。しかし、筆者は教育現場においては、肉体の復活言説に重要性を感じない。……生徒や学生の多くはそれを非科学的だと判断するだろう。しかし、問題なのは、むしろ自分とは無関係だと見做されることである。……大切なことは、あえて復活の主体を、イエスから生徒・学生たちへと移すことではないだろうか。そこで求められるのは再起の起点としての復活である」

 「教育現場で若者と向き合う人であれば、そこに挫折経験を抱える者が多いことを知っている。……こうした学生たちに、聖書を通して共有したいのは本人たちの再起(復活)である。そのイメージは、各福音書巻末のイエスの復活場面よりも、マルコによる福音書5章41節に描かれる『立ち上がり』に近い」

 「教育現場において、挫折や孤独、劣等感を抱えているのは学生たちだけではない。実は教職員も同様である。だからこそ、キリスト教主義学校では、わたしたちの存在と語りかけを通して、再起の源泉を生み出す働きが必要だ。しかしながら、そもそも学校の組織や構造には、生徒や学生たちの力を削ぎ、躓かせる力が働いていることを、わたしたちは強く認識しておくべきだろう。成績付けや、生徒募集を見込んだ進路実績作り、教員の扱いやすさのためにデザインされた管理体制には、生徒や学生たちを比較と競争に放り込み、あるいは画一的な枠に押さえつけ、そこから弾かれた者たちを切り捨てる負の側面が、確かに存在しているからだ。それでもなお現場に可能性があるとすれば、それはわたしたちの存在を通して、『ことば』を届ける機会が確約されていることだろう」

【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】

書籍一覧ページへ

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘