【雑誌紹介】 送り出す教会、迎える教会 『福音宣教』5月号
月間テーマ「傷ついた子ども、青少年に寄り添う(2)」。「次世代へ、青年会のつながりを創り出す――コロナ禍のフィールドワークから」と題して、李賢京(イ・ヒョンギョン、東海大学文学部文明学科准教授)が提言する。
「進学や就職、結婚などで青年は活発に『動く』。『動く青年』たちのために、都市教会と地方教会の連携が重要であり、オンラインでの交流が一つの解決策となる。現代の地域社会に見られる課題は、都市への人口の集中であり、青年は地方から都市への移動を望む。その際、都市と地方の連帯をいかに保つかということを考える必要があり、宗教の面においては、『送り出す教会』(地方)と『迎える教会』(都市)との連携によって、信者同士の交流や教会学校・キャンプなどの共同開催をし、信仰生活の維持を支援する必要がある」
「『動く教会』の概念を取り入れ、場所を選ばなくてもよいオンラインを通じた交流が、『動く青年』に対して新たな関係性の構築に寄与し、信仰生活の継続につながると考えられる。人口移動が活発な日本社会において、コロナ禍のなかで宗教の儀礼・行事などのオンライン化が加速化した今、『動く教会』のあり方を検討する必要がある。それが、『移動社会』における信仰継承の糸口となることと考える」
憲法学者・南野森(九州大学法学部教授)の連載「京・江戸・博多、そして巴里」27「紙の新聞を大切に」。 「私がいつも新入生に向かって言うことがある。『大学生になったら紙の新聞を取りなさい』、である」
「ネットに流れる情報は玉石混淆で、どこの誰が書いたかもわからないフェイクニュースや陰謀論、あるいは根拠薄弱なものであることも多く、それを読者が見分けるのは容易ではない。同じ媒体でネットニュースを見ていると、読者の興味に合わせて人工知能が記事を選ぶようになり、結果的に偏ったテーマや論調の記事ばかりを読むことになる」
「ネット書店さえあればリアルの書店がなくなっても良いかというと、本棚を実際に眺めることで本との偶然の出会いがあるように、なんでもデジタルで代替できると勘違いしてしまう『デジタル化の罠』には、注意したいものである」
【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】