【雑誌紹介】 正義を武器として用いると… 『聖母の騎士』8月号
連載「ラルシュかなの家『日々の生活』」第55回「正義を手放したい」。担当はアシスタントの畠中宏。
「弱い私たちが敵と戦うために、私たちはしばしば正義を武器として用いました。私は正しい、あなたは間違っている、という姿勢で互いに睨み合う格好になります。自分の心身に直接つながっていないので、振り回しても自分はあまり痛くありません。自分の心身を剥き出しにしなくてよいので、恥ずかしくもなくなります。反論を許さず、安全に敵を攻撃できます。正義を手にしたい誘惑がいつもあります」
「ラルシュのコミュニティーには、知的障害のあるなかまの生きる姿を手本にしていこうという思想があります。正義を振りかざす力を持たず、生身で戦って傷つくことを引き受けているなかまは、喧嘩をしても翌朝には仲直りしています。毎日喧嘩しながら、何十年もひとつ屋根の下に暮らしています。私たちアシスタントは、喧嘩するとなかなか仲直りができません。正義の戦いになってしまっているから、というのが一つの理由かと思います。最後まで正義を手放せなかった人ほど、最後まで歩み寄れず、結果的により多く傷ついて去っていくように見えます」
【本体225円+税】
【聖母の騎士社】