【雑誌紹介】 求めなければ備わらない 『福音宣教』12月号
今年の5月号から始まった巻頭特別企画(2)「チーム・ミニストリー実践者座談会」の最終回。「教会、そして社会の未来」をテーマに11人が話し合う。
カトリック横浜教区長野教会および篠ノ井教会主任司祭の濱田欧太郎が言う。「北信地区では過去二年くらいの間、ちょっとした異変が起こっています。北信地区外、横浜教区外からキリスト教を学びたいという人たちが訪ねてくるようになったのです。彼ら彼女らの話から地方の教会の現実が浮かび上がってきます。日曜日に教会を訪ねていっても司祭と話し合う時間をとってもらえない。これは一人の司祭が複数の教会をまわりミサをささげているためで、次の教会に向かうために一カ所にとどまることができなくなった現実を反映しています。また教会を訪ねていっても電話をしても誰も出ないという話も聞きます。一人で複数の仕事を兼務し教会を不在にする司祭も多いでしょうし、鬱状態に陥り、訪ねてくる人に対応できなくなってしまった司祭も少なくありません。……キリスト教を学びたい、洗礼を受けたいという方はそれなりにいるのに、この方々に扉を閉ざしているのが現在の教会ではないでしょうか」
東京教区カテキスタ第三期生でデザイナー、アーティストの中井美帆が言う。「私を含め、私の周囲では、キリスト教の基本といえますが、あまりに何も知らない人が多すぎる。洗礼、堅信を受けたのに、堅信に関しては幼児洗礼でも物心ついた歳の、自分の責任で授かったのにもかかわらず、です。親御さんがまず基本を知らないし、家で祈る姿を見せないから、当然子どもも信仰が育たない。家庭という最小単位の教会が果たすべきカトリック信者の義務を果たしていないと悲しく思います」
「『だって教わってないから』ではなく、求めなければ備わらないです。自分への戒めとして言いますが、カトリックの知識的な表層だけなぞっていても本当に無駄で、『信じる』が根底にある生活をしないと何もかも無意味だと強く思います。これは怠惰で偽善的な自分にも戒めの意味で発言しています」
【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】