【雑誌紹介】 死の道を進んだ教会 『信徒の友』8月号

 特集「戦後80年 記憶を受け継ぐ」。特集の冒頭で編集者が言う。「あの頃の資料は数多く残されている。全教会の献金により献納された戦闘機『教団号』。子どもたちの大会で外務大臣が話す。皇紀2600年を教団をあげてお祝い。天皇即位に『基督と日本の子供』が奉献された。過去を知ることは、未来を作ること。戦後80年。自分のこととしてあの頃と向き合い、平和を作り出す者とされよう」

 日本キリスト教協議会(NCC)教育部の「平和教育資料センター」を見学した4人の学生が感想を分かち合う「私たちが見たあの時の教会」。

 佐竹和香(慶應義塾大学大学院博士2年)=「戦時中の教会は、天皇を神の国の実現に関わる存在として讃え、戦争を肯定していたことが資料から伝わってきました。そのような信仰のゆがみは、私たちにも起こり得ると想像できて、恐ろしさを覚えました。戦争責任とは、過去を背負うことではなく、同じ過ちを繰り返さないよう行動することだと思います」

 李耕守(国際基督教大学3年)=「戦争は人の生きる道ではなく、死へとつながる道です。キリスト者が神を信じながらも、戦時中に死の道を進んだことは、戦後を生きる私たちに重い問いを投げかけています。……今もなお、争いの中で尊いいのちが脅かされている現実があります。傍観者ではなく、記憶し、連帯しながら向き合っていきたいと思います」

 「戦争を放棄する者であり続けるために」と題して、日本キリスト教史を研究する佐々木結(同志社大学神学部博士後期課程)が、戦争放棄の立場を守るための準備の必要性を訴える。

 「その準備の一つは、戦争体験を継承すること、特に子どもたちが体験者の話を聴く機会を作ることです」

 「また体験者がこの世を去った後も戦争を記憶し続けるために、史料と記録が重要です」

 「戦争体験を持たない世代は、体験の継承だけに依存せず、おのおのの経験や出会いを根拠に戦争放棄の立場を主体的に選び取ることがやはり必要です」

 「こうした提言をするのは、私自身への恐れからです。私は戦争放棄の立場を取っているつもりですが、その立場は本当に自分のものになっているだろうか。現に、強国が逃げ場のない人々に対して行う容赦ない攻撃や民族浄化に「不正義」を感じ、私の戦争放棄・非武装の立場はグラグラと揺れています。歴史の教訓として武力が決して平和を生まないことは知っているのに、それでも人道的軍事介入ということが頭をよぎってしまうところに、観念的にのみ戦争放棄を受け入れてきた自らの不確かさを感じるのです」

【700円(本体636円+税)】
【日本キリスト教団出版局】

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