【雑誌紹介】 平和の心を呼び覚ます 『福音宣教』8・9月号

月間テーマ「教皇レオ14世の横顔」。菅原裕二(教皇庁立グレゴリアン大学教会法学部名誉教授)が「教皇レオ一四世の選出」の中で新教皇に期待を寄せる。
「教会が向かう課題は多い。教皇選挙から三日後に開かれた最初の枢機卿会議で、レオ一三世が当時の新しい社会問題(労働者問題を指すのであろう)に向き合ったように、課題として『新しい産業革命と人工知能(AI)の問題』に言及している。その一週間後に開催された教皇就任のミサにおいて、教会が果たすべき役割として平和への希求と役割があることに言及し、世界の『連帯や友愛の小さなパン種』になる望みを表明している。いずれにしても国際紛争が絶えない現代世界に平和を構築できるリーダーを求める声も教皇選挙にこれほどの関心がもたれたことの理由の一つではないかと推測される。新教皇には、教会を導くペトロの後継者であると同時に、対話がなくなり、対立が目立つ国際社会の中で平和を構築できるリーダーであってほしいと思う。就任ミサに先立って、レオ一四世はロシアとウクライナ間の停戦に向けての直接協議の場としてバチカンを提供する意向を示した。実現はしていないが、カトリック教会が和平に向けた外交の場となる機会である」
連載「見失われた羊に寄りそって」。英隆一朗(広島教区長府教会主任司祭代行)が、トランプ大統領と教皇レオ14世の2人のアメリカ人を対比する。
「レオ13世は教会を社会に開き、社会問題に誠実にかかわる一歩を踏み出した。回勅『レールム・ノヴァールム』を通して、見失われた羊であった労働者の権利を守る立場を標榜したのである。レオ14世はこの精神を引き継ぐ意思がある。見失われた羊を切り捨てるのではなく、見失われた羊にしっかりと目を向け、分断されているところに平和の架け橋をかけようとされている。そのポイントは、失われた羊の心に自分が大切にされている実感と愛の心が呼び覚まされていくかどうかである」
「分断された社会の中で、多くの人が見失われた羊だと自認している。怒りと憎しみが増幅するのか、あるいは、愛と平和の心が呼び覚まされるのか。どちらの牧者に聞き従って、キリスト者としての誇りを生きるのか、一匹一匹の羊に選択が迫られている」
【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】