【書評】 『生き方の問題なんだ。』 大嶋 重徳 他

日本の教会の中で「政治的課題」をいかに語り得るのか
この間、安保法案などの政治的課題をめぐり積極的に発言してきた4人の若手キリスト教徒が、現代社会を生きる上で「生きること」「信じること」にまつわる葛藤をありのまま綴った。
「安全圏クリスチャン」「リスクを恐れた自粛モード」という表現が示すように、教会の中でも声を上げるのがはばかれる空気が蔓延する。「聖書的根拠を持ち出せば『クリスチャンとして正しい』かのように思える」誘惑と戦いながら、「クリスチャンの“正しさ論争”に嫌気がさし、無関心になる人がいる」という難局をどう克服すべきか。
「安保法制に賛成」という学生との対話は興味深い。ただ、「違い」を責め合うのではなく、「共に建て上げ合う」関係性の重要さは、非信者との間にも普遍的に通じる事柄である。なぜならそれは、人類共通の「生き方の問題」のはずだから。
【本体1,200円+税】
【いのちのことば社】978-4-26403-620-3