〝原則より結果重んじ〟教育に専心 古屋安雄氏の葬儀に約400人 2018年4月23日
91歳で逝去した古屋安雄氏(国際基督教大学=ICU=名誉教授)の葬儀礼拝が4月22日、ICU教会(東京都三鷹市)で行われ、親族をはじめ大学関係者、教え子、教会員ら約400人が参列した。
司式は加山久夫氏(明治学院大学名誉教授)が務め、東京神学大学名誉教授の大木英夫氏が式辞を、並木浩一(国際基督教大学名誉教授)、矢澤俊彦(日本基督教団荘内教会牧師・代読)の両氏が弔辞を述べた。
大木氏は「敗戦後の日本は使徒パウロのように新しく生まれ変わることができていないのではないか。新しい人を育て、新しい世界を創出することが日本の大学の課題」と、生前の古屋氏とたびたび語り合ったという内容を紹介。
31年間、国際基督教大学の同僚だったという並木氏は、故人を「原則より結果を重んじるプラグマティックな考えの持ち主だった」と評した。ある神学生には「毎日満員電車に乗らずに済む」との理由で牧師への道を勧めていたという。それは「動機の純粋さにこだわるのは良くないという確信と教育的配慮に基づくものだった」と同氏。日本におけるキリスト者人口の少なさを「量より質」と弁護する言説に対し、「量を切り捨て質を選ぶ立場は、自身の救いしか考えず、福音によって社会を変革する義務を放棄するもので愛に欠ける」と批判していたことにも触れ、故人の提起した数々の問いに答えていく道を示した。
喪主代行を務めた長女の恵美子さんは、自身がニューヨークで移民・難民の問題に携わっているのは「(父が)説教するだけでなく実践できる人だったことが大きく影響している」とし、ICUのキャンパス内に住んでいた当時、「皇居の次に良い家だ」と誇らしげに語っていたこと、悩みを抱えた学生が昼夜を問わず訪れていたことなどの思い出を語った。
上海で生まれ、日本での従軍体験を経てアメリカで学んだ後、伝道と教育に情熱を注いだ神学者としての歩みは、『私の歩んだキリスト教――一神学者の回想』(キリスト新聞社)としてまとめられている。