最上敏樹氏が出版記念講演 『未来の余白から』に込めた意味 2019年1月21日

 最上敏樹氏(国際基督教大学名誉教授)による新刊『未来の余白から』(婦人之友社)の出版記念講演会が12月12日、東京・池袋の自由学園明日館講堂で開催され、元になったエッセイを連載していた雑誌『婦人之友』の読者ら約200人が全国から駆け付けた。

 最上氏は連載開始当初の編集者とのやりとりや、裏話などを紹介。書名に込めた意味について、「今後も世界は急に変わらないかもしれないが、私が未来に言えるとすれば、おそらく『余白』から主流とは異なる少数意見を言い続けるだろうと思う。多数の人が忘れていくことを誰かが続けなければならないというささやかな使命感からでもある」と打ち明けた。

 また、連載で無意識に多く使っていた言葉として「美しい」「悲しみ」の2語を挙げ、その理由を「世界の現実は十分に醜い。その中で美しいもの、悲しみの中の希望を探し続けた結果」と分析。スイスのバーゼルに住みながら撮影した写真なども披露し、最後にナチスの戦犯を裁いたニュルンベルクの600号陪審法廷から「つまるところ歴史は、人間一人ひとりの名において記憶されるほかないのだ」との一節を引用して締めくくった。

 講演後は、ピアノ、バイオリン、チェロによるアンサンブルのミニコンサートが最上氏の解説を交えながら行われた。

【書評】 『未来の余白から』 最上敏樹

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