深井智朗著『プロテスタンティズム』 「読売・吉野作造賞」授賞を取り消し 2019年5月20日

 読売新聞社(山口寿一社長)と中央公論新社(松田陽三社長)は5月17日、「第19回『読売・吉野作造賞』授賞取り消しのお知らせ」と題する告知を両社サイトにそれぞれ掲載した。対象となったのは深井智朗氏による著書『プロテスタンティズム』(中公新書)。「授賞取り消し」の理由について両社は、「深井氏には研究者倫理の欠如が認められ、研究姿勢に重大な問題があり、『プロテスタンティズム』もそのような研究姿勢のもとで執筆された著作に含まれると見ざるを得ない」と指摘し、「深井氏から読売新聞社と中央公論新社にはこの件に関して何の申し出もなく、選考過程で深井氏の問題を把握することはできませんでした」としている。全文は以下の通り。


 読売新聞社と中央公論新社は17日、「読売・吉野作造賞」の選考委員会を開き、深井智朗氏の著書『プロテスタンティズム』(中公新書)に対する第19回読売・吉野作造賞(2018年)の授賞取り消しを決めました。

【理由】
 昨年10月に深井氏の不正行為の疑いが表面化したため、読売新聞社と中央公論新社は、研究者2人に『プロテスタンティズム』の内容の精査を依頼するとともに、不正行為を告発した関係者から意見を聞き、さらに深井氏本人からもヒアリングを行いました。
 検証の結果、『プロテスタンティズム』には、捏造、盗用などの不正行為は認められませんでした。
 しかし、深井氏の別の著書と論考(『ヴァイマールの聖なる政治的精神』、『エルンスト・トレルチの家計簿』」)について、東洋英和女学院大学の調査委員会は捏造と盗用があったと認定したうえ、「学術的・社会的影響度は極めて大きく、行為の悪質度は極めて悪質」と結論づけました。調査結果は今月10日に公表されました。
 この調査結果を踏まえると、深井氏には研究者倫理の欠如が認められ、研究姿勢に重大な問題があり、『プロテスタンティズム』もそのような研究姿勢のもとで執筆された著作に含まれると見ざるを得ないことから、授賞取り消しが相当と判断しました。
 深井氏は、昨年3月に日本基督教学会を通じて不正行為の指摘を受け、昨年7月には同学会に不正を否認する回答を送っていました。この間に、読売・吉野作造賞の授賞が決まりましたが、深井氏から読売新聞社と中央公論新社にはこの件に関して何の申し出もなく、選考過程で深井氏の問題を把握することはできませんでした。

 なお、中央公論新社は『プロテスタンティズム』について、今月7日以降、書店から注文があっても出荷しない出荷停止の措置を取っております。

読売新聞社
中央公論新社

(2019年05月17日 読売新聞)

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