殺傷事件から1年でカリタス学園がメッセージ 「いのちの尊厳伝えられる大人へと成長できるよう支えたい」 2020年5月28日
川崎市多摩区の路上で刃物を持った男に襲われ、カリタス小学校(内藤貞子校長)の児童、保護者ら20人が死傷した事件から1年を迎え、カリタス学園(齋藤哲郎理事長)は5月21日、「皆様へ ――事件から1年目を迎えて」と題するメッセージを齋藤理事長と内藤校長との連名で発表した。
学園では事件当日から1年目にあたる5月28日、新型コロナウイルス感染症の流行に配慮した形で、児童、保護者と共に追悼ミサを行う。メッセージでは、当日、祈りを共にすることを呼び掛けつつ、近隣住民への配慮から献花は控えるよう要請している。
また、消防、医療、心理、警察、交通などの助けや全国からの「温かい励ましや深い祈り」に謝意を示した上で、「事件の爪痕は消すことができません。しかし、子どもたちの心にできる限り寄り添いながら、一日も早く平穏な学校生活を取り戻せるよう、学園はこれからも努力を続けてまいります」「子どもたちが将来、心の底からいのちの尊厳を伝えられる大人へと成長できるよう支えてまいりたいと存じます。そのことが、今回皆さまからいただいたご厚情への恩返しにもなることと信じております」としている。全文は以下の通り。
皆さまへ ~事件から1年目を迎えて~
登戸駅近くのスクールバス停で事件が起きてから、まもなく一年が過ぎようとしています。二人のかけがえのない命が失われ、多くの児童・保護者が傷ついたあの事件の影響は大きく、私たちは今も深い悲しみのうちに過ごしています。恐らく、これから先も長くこの痛みをともに負い続けなければならないことでしょう。それは一つの辛い現実です。
一方、この一年を振り返ると、本当にたくさんの皆さまに支えていただいたことが思い出され、深い感謝の念が湧いてきます。事件直後に現場で迅速な救護にあたってくださった近隣の方々をはじめ、消防、医療、心理、警察、交通など各方面の実に多くの方々から言い尽くせないほどの多大なご助力をいただきました。また、全国の皆さまからは、さまざまな形で温かい励ましや深い祈りを寄せていただきました。こうしたご厚意の一つ一つに直接感謝の気持ちをお伝えすることはできませんが、この場をお借りして改めて心よりお礼を申しあげます。
学園は、事件から一年目にあたる5月28日に、新型コロナウィルス感染症の流行に配慮した形で、子どもたちや保護者とともに追悼ミサを行います。皆さまにはご参列いただけませんが、よろしければ当日、祈りを共にしていただけますと誠にありがたく存じます。なお、昨年多くの皆さまより事件現場への献花等を頂戴いたしました。心より感謝申しあげます。しかしながら、今年は近隣の方々へのご迷惑を考え、恐れ入りますが献花等はご遠慮くださいますようお願いいたします。
事件の爪痕は消すことができません。しかし、子どもたちの心にできる限り寄り添いながら、一日も早く平穏な学校生活を取り戻せるよう、学園はこれからも努力を続けてまいります。そして、子どもたちが将来、心の底からいのちの尊厳を伝えられる大人へと成長できるよう支えてまいりたいと存じます。そのことが、今回皆さまからいただいたご厚情への恩返しにもなることと信じております。
最後になりましたが、感染症の蔓延が心配される折から、皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申しあげます。
感謝と祈りのうちに
2020年5月21日
学校法人 カリタス学園
理事長 齋藤哲郎
小学校長 内藤貞子