米合同メソジスト教会の総会が再延期 同性愛めぐり離脱相次ぐ 2021年7月25日
同性愛はキリスト教の教義に反するとの立場を維持すると決めた米合同メソジスト教会(UMC)では、コロナ禍のため総会が再延期される中、複数の保守的教会、進歩的教会が正式な手続きを待たずに脱退し始めている。
UMCに属する数教派は2019年、教会の財産を保持したまま離脱する案に合意していた。しかし、総会が2度延期されたことで、教派分裂に関する議定書を審議するための投票は2022年8月まで持ち越された。
UMCは、メソジスト派の教会としては世界最大規模。プロテスタントの中でも主流派に位置付けられるが、教派内の神学的、政治的立場は幅広く、共和党のジョージ・W・ブッシュ元大統領が所属する一方で、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官も所属している。
メソジスト教会ニュースレビューは、地方UMCが管理する54教会が2020年に少なくとも51の分派を認めたことを明らかにした。2021年に関しては、今のところ38の分派を是認している。
UMCから脱退するにあたって強硬な手段をとる教会もある。昨年脱退した100人の信徒を擁するオハイオのボイス教会のメンバー、アルビン・トーキントン氏は、「我々に対し、主は行けと導いているように感じた」と話す。脱退の決定は、同性愛などに対する教会の保守的な立場を東オハイオ会議が評価しなかったこと、また教会に仕える保守的な牧師を見出せなかったことに対する不満に由来する。「新しい牧師候補10人のうち、3、4人は私たちの教義に合致していた可能性がある」とトーキントン氏。同教会は総会を経ずに新任の牧師を招聘し、信徒主導でUMCから脱退するよう働きかけた。
2020年以前は、脱退する教会の主流は保守派だった。いくつかの教会は、テキサスのグレース兄弟教会のように、保守的な新しいフリーメソジスト教会のような教会を見出し、独立した教会へと前進している。一方、先進的な教会もLGBT関連の問題でUMCを脱退し始めている。2020年、LGBTに対する差別をめぐり、メーン州の3教会とテキサスの大教会が脱退した。ヒューストンのベアリング・メソジスト・共同教会もUMCを脱退。メーン州の新バックレット教会は独立し、牧師はUCC(United Church of Christ)やユニテリアン世界協会への参入を検討している。この6月にはUMCの先進的グループ「Love Prevails」も、教派からの離脱を表明した。
ウェスレー契約アソシエーションは、1500教会と12万5000人の信徒を擁するが、伝統的なUMCの結婚に関する立場をとる。今やこのグループは、会衆派からの離脱を認めた世界メソジスト教会(GMC)の中核となっている。GMCは、地域の会衆に圧力を加える官僚的な取り決めよりも、GMCがリーダーを見出すことを望んでいる。「私たちは未成熟な脱退にひどく失望しており、人々が議定書を待つことを奨励する。すでに去った人に対しては、議定書ができた後、GMCに参加することを望む」という。
デューク大学のウェル・ウィルソン教授は、「司祭たちは留まるように信徒を説き伏せるべきだ」と分派への懸念を示している。
写真=Paul Jeffrey / United Methodist News Service