【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 主が与えてくださった賜物を用いて 福田 哲 2024年7月11日
地方教会に仕えることを主の召しと受け止めた私は、秋田県の能代教会で6年牧会した後、東京を挟んで反対側、香川県の多度津教会へ転任することになりました。
多度津教会は香川県に現存する最古のキリスト教会です。附属に約100年の歴史を持つ保園(当時・現在はこども園)があります。毎週1回礼拝の時間がありますが、神学生時代から子どもと遊ぶのが好きだったので、特別にお願いして週1回子どもと遊ぶ日を別に設けていただきました。教会と保育園は離れた場所にあったので、橋渡しにもなったように思います。赴任して1年後に「教会学校」は〝学校〟のイメージがあって保育園の子どもが来にくいのかもしれないということで、「子どもの教会」としました。中身は変わっていないのですが、「週1でお話しするだけ」が「週2で顔を合わせる」効果もあってか、在園児とご家族そして卒園したばかりの子の出席者が毎年与えられました。
私の働きの特徴の一つにお菓子作りがあります。実は能代にいるころからお菓子作りをしていました。もともと甘い物が好きな私は、自分で作った方が安く、たくさん食べられるということで、自由にできる時間も多かったため、自炊の延長でお菓子作りも始めたのです。それを能代の役員会で出してみたところおほめに与り、調子に乗っていろいろ作るようになりました。
同じ人に同じものを出したくないという変なプライドがあり、レパートリーが増えていきました。それを多度津でも続けたいと思い、提案したのが就任式の茶話会用のお菓子でした。自分の就任式のために自作でケーキを用意するなんて、役員の皆さんの頭上にも「?」が見えましたが、約70人分のケーキを出して驚かせました。その後も礼拝後に月1回ティータイムをしたり、保育園の職員会や他教会との集会などでも提供したり、「福田=パティシエ」という認識が定着していき、現在に至っています。
香川は日本一小さな県です。そこに日本基督教団の教会・伝道所が13あり、そのうち三つは島しょ部です。秋田では隣の教会までの距離だった範囲に端から端まで入ります。近くて顔の見える伝道協力がなされ、無牧の教会の支援なども積極的です。特に島しょ部教会への支援は、人的にも財的にもしっかりなされています。私が多度津に赴任したころ、香川直島伝道所は月1回香川分区の教師が礼拝応援をしていました。ところが、第5週がある時は礼拝自体がお休みだったのです。「なぜ?」と問うたら「じゃあ、あなたがやりなさいよ」ということになり、第5週は私が担当することになりました。
当時は旧会堂で、良く言えば趣がありますが、活動していないと思われることもある建物でした。世界的観光地直島に、世界に福音を発信する教会を、というコンセプトで会堂建築計画が進められました。香川分区から建築プロジェクトが立ち上げられ、私も関わらせていただきました。豊島と直島を兼牧していた牧師の退任もあり、これまでの経緯が分かっている者が後を継げないだろうかということで、私に声がかかりました。
時を同じくして支えてくれるパートナーも与えられ、ただただ神さまの不思議な導きと、必要はすべて備えられるとの確信をもって、多度津で8年の牧会を終え、同じ香川県の島しょ部教会へと転任することになりました。
ふくだ・てつ 1975年東京都生まれ。8歳の時に交通事故で父を失い、お受験戦争に巻き込まれ家計を助けるため国立を目指すもなぜか青山学院中等部のみ合格。そこでキリスト教と出会う。日本基督教団能代教会、多度津教会を経て、2016年より香川豊島教会と香川直島伝道所を兼務、23年より内海教会を代務。丸亀少女の家(女子少年院)教誨師も務める。