日韓聖公会が共同宣言「和解と平和の使命を心に」　2025年8月5日

　大韓聖公会の朴東信議長主教と日本聖公会の上原榮正首座主教、および日韓両聖公会主教会による「８・１５日韓聖公会共同宣言」が７月１６日、日本聖公会管区事務所のホームページに公開された。

　共同宣言では、戦後８０年を迎えるにあたり、和解と平和の使命を改めて心に刻み、両聖公会が赦しと愛をもって新たな関係を築いていくことを宣言。世界各地で紛争が起こっている時だからこそ、キリスト者は「平和を造る者」としての使命を思い起こさなければならないと強調した。また、両聖公会は４０年以上にわたる「まごころの交わり」を通して互いを理解し愛することを学んできたとし、特に青年たちの交流は大きな恵みだと述べた。

　その上で、「愛の実践」「真理の追求」「平和の証し」「統一への祈り」「希望の分かち合い」という５項目を実践することを約束し、両聖公会の友情と信頼が両国と朝鮮半島の平和統一、東アジアの和解の礎となることを祈った。

　共同宣言の全文は以下の通り。

２０２５年「８・１５⽇韓聖公会共同宣⾔」

　「平和を造る⼈々は幸いである」（マタイ５：９）

　「剣を打ち直して鋤とし」（イザヤ２：４、ミカ４：３）

主にある愛する皆さま

　今年は⽇本の敗戦と韓国の光復から８０周年を迎えます。この意義深い年に当たり、私たちは神様が⼈類にお与えになった和解と平和の使命を改めて⼼に刻みます。

歴史を悔い改めて

　⽇本聖公会は過去に朝鮮半島に対して⾏なった、植⺠地⽀配の罪を深く悔い改めます。私たちの先祖が朝鮮半島のみなさんに負わせた傷と痛み、またそれによって起こった南北分断を忘れることなく、主の赦しの中で真の和解を求めます。

　「互いに親切で憐み深い者となり、神がキリストにおいてあなたがたを赦してくださったように、互いに赦し合いなさい。」（エフェソ４：３２）のみ⾔葉のように、私たち両聖公会は赦しと愛をもって新しい関係を築いていきます。

現在を省みて

　いま世界は戦争と紛争によって苦しんでいます。「ガザでのジェノサイド」、「終わりの⾒えないウクライナ戦争」、そしてあらゆる地域で紛争が起こっています。このような時だからこそ、キリスト者は「平和を造る者」としての使命を思い起こさなければなりません。

　⽇本は戦後、神様の恵みによって平和憲法を制定し、戦争を放棄し、あらゆる武⼒を持たずして平和を追求する国となりました。これは「剣を打ち直して鋤とし」という神さまのみ⼼を実現する貴い賜物でした。私たちはこの平和の精神を⼤切に守り、さらに発展させていく責任があります。

　朝鮮半島は依然として分断の痛みの中にありますが、神様は和解と⼀致のビジョンを私たちにお与えになりました。分裂した地に平和が実現されることこそが、主のみ⼼であると信じます。⽇韓両聖公会は、４０年間以上にわたる「まごころの交わり」を通して、互いを理解し、愛することを学んできました。特に両聖公会の⻘年たちが、⻑い交流の経験を通してキリストにあって⼀つとなっている姿は、神様がお与えくださった⼤きな恵みです。

　また多くの⼤韓聖公会出⾝の聖職者が⽇本聖公会の牧会の現場で宣教協働者としてご奉仕する姿はこれまでの両聖公会の交わりの結実です。

　未来に向かって約束します「神は、キリストをとおして私たちをご自分と和解させ、また、和解の務めを私たちに授けてくださいました。」（Ⅱコリント５：１８）とのみ⾔葉に従い、私たちは次のように実践することを約束します。

　愛の実践：互いのために祈り、理解しようと努め、神様の愛をもって互いに仕え合います。

　真理の追求：歴史の真実から目を逸らすことなく、憎しみよりも愛で、断罪よりも赦しで応答していきます。

　平和の証し：⽇本の平和憲法の精神を⽀持し、軍事的対決よりも、対話と協⼒による平和構築に参与していきます。

　統⼀への祈り：分断された朝鮮半島が、神さまの恵みによって和解し統⼀されることを切に祈り、この過程において⽇韓両聖公会が平和の同伴者となるよう努めていきます。

　希望の分かち合い：若い世代や「女性」たちがキリストにあって⼀つとなる喜びを体験できるよう、交流とまごころの交わりを続けていきます。

主の召しに応えて

　「剣を鋤に、槍を鎌に打ち直す」その⽇を望みつつ、私たちは憎しみの壁を超えて、愛の橋を架ける働きに参与します。

　８０年前の痛みの歴史を踏まえ、いま私たちはキリストの愛の中で真の家族となりました。いま私たちの友情と信頼が両国と朝鮮半島の平和統⼀、そして東アジアの和解にささやかな礎となることを祈ります。

　「兄弟が共に住むことは、何という幸せ、何という麗しさ。」（詩編１３３：１）

　主が私たちに委ねられた和解の使命を感謝して受け、愛と平和の福音を証しつつ歩んでまいります。