2018年以来最大規模の取り締まり 北京シオン教会が緊急祈祷を要請 2025年10月13日

中国大陸における大規模なキリスト教取り締まりに関して、世界各地のキリスト教メディアでも報道が広がり、大きな注目を集めている。これだけの大規模な取り締まりは、2018年の成都秋雨之福聖約教会(王怡牧師)に対する取り締まり事件以来とみられている。以下、香港のキリスト教メディア「時代論壇」(Christian Times)による報道。
中国大陸の非公認教会(家庭教会)である「シオン教会(錫安教会)」では、10月9日以降、全国各地でおよそ30名の牧師・教職者が公安当局に連行されたことが分かった。その中には主任牧師の金明日(Jin Ming-ri)氏=写真上(China Aidより)=も含まれており、近年における非公認教会への弾圧としては最大規模の拘束事件とみられている。
SNS上で拡散された同教会の「緊急祈祷要請書簡」によると、10月11日時点で約30名の牧師やスタッフが次々と拘束、または消息不明になっている。最初に連行されたのは珠江デルタ地区〔深圳市や広州市を中心とする一帯〕の牧会を管轄する王林牧師で、10月9日に深圳・宝安空港で身柄を拘束された。警察は家族に対し、王牧師の拘留先に関する具体的な情報を一切明かしていないという。
その後、10月10日夕方から11日未明にかけて、金明日牧師と尹会彬牧師の2人が広西・北海市で複数の警察官により拘束され、以降、連絡が取れなくなった。同じ夜には十数名の教会関係者およびその家族も相次いで消息を絶った。同日夜以降、北京、浙江省嘉興市、上海虹橋、山東省黄島区、四川省成都など各地でも複数の牧師や伝道者が公安に連行され、住居の家宅捜索も行われたとされる。
教会の公開書簡によれば、広西の執行官らは逮捕名簿を手にしており、9月26日付の逮捕令状および捜索令状を提示したという。しかし、オンライン上で公開された北京の王聡牧師の夫・任重氏の公開書簡によると、北京での捜索時には当局者は何の書類も提示せず、理由の説明もなかった。彼らはまず家の電源を強制的に切断し、ドアを破って侵入、王聡牧師を連行したという。任重氏と3歳の娘はその場に取り残された。任重氏は公開書簡の中で、当局に対し法的根拠の公表、弁護士および家族との面会許可、そして妻の速やかな釈放を強く求めている。
シオン教会は、2018年に当局の命令で北京の主会堂が強制閉鎖されたが、「緊急祈祷要請書簡」によると、過去6〜7年間、オンラインと対面での活動を通して全国約40都市に100か所以上の小規模な枝教会を設立してきたという。しかし今年に入ってから、各地の拠点に対する弾圧が一段と強まっており、派出所に連行された信徒は延べ150人を超え、11名の牧師・スタッフが行政拘留を受けたと報告している。
同書簡によれば、現在、複数の教会スタッフが広西北海市第二拘置所に収容されており、「違法インターネット情報宗教伝播罪」に問われる可能性があるという。(記事ソース=「時代論壇」、翻訳=松谷曄介)

2018年の閉鎖以前の北京シオン教会・主会堂(写真=China Aidより)
「緊急祈祷要請書簡」全文の日本語訳は以下の通り。
シオン教会 緊急祈祷のお願い
親愛なる主にある兄弟姉妹の皆さま、平安をお祈りします。
2025年、中国各地で新たな宗教弾圧の波が広がっています。今年5月には、〔陝西省〕西安市で尊敬を集めていた高全福牧師が拘束され、「宗教的迷信活動を利用して法の執行を妨害した」という罪名で刑事訴追を受けました。6月には、〔山西省〕臨汾市の「金灯台教会」の複数の教会スタッフが「詐欺罪」で有罪判決を受け、うち伝道者の楊栄麗氏は15年の重刑を言い渡されました。このように、全国各地で多くの教会がますます厳しい取り締まりや迫害を受けており、特にシオン教会への圧力が強まっています。
シオン教会は、正統的なキリスト信仰に基づく中国の家庭教会(非登録教会/非公認教会)で、2007年に金明日牧師によって北京で創設されました。10年のうちに急成長し、中国最大級の新興都市型教会の一つとなり、会員数は約1500人に達しました。しかし2018年、当局による厳しい弾圧を受け、数百人の信徒が宗教局や地元警察から脅迫や圧力を受け、礼拝への参加を妨げられました。同年9月9日、シオン教会は政府により強制閉鎖され、教会財産はすべて没収されました。以来、金明日牧師は出国を禁じられ、7年間にわたりアメリカにいる妻子と再会できない状況が続いています。
過去6〜7年間、迫害と新型コロナ感染拡大という二重の試練に直面しながらも、シオン教会はオンラインと対面を組み合わせた形で活動を続け、約40都市に100か所以上の小規模な枝教会を開拓してきました。しかしその間も政府の圧力は止まず、多くの牧師や信徒が警察の嫌がらせ、脅迫、取り調べ、さらには短期拘留を受けてきました。そして2025年に入り、各地のシオン教会に対する弾圧が一層激化しています。数十都市の礼拝拠点がたびたび妨害され、警察に連行された信徒は延べ150人を超え、行政拘留(通常14日間)を受けた牧師・教職者は11名にも及んでいます。
2025年10月9日以降、全国でおよそ30名のシオン教会牧師・スタッフが相次いで拘束または行方不明となりました。
10月9日午後には、珠江デルタ地区を管轄する王林牧師が深圳の宝安空港で警察に連行され、以後、家族との連絡が途絶えています。警察は拘束場所などの情報を家族に一切開示していません。10日夕方には、主任牧師の金明日氏と尹会彬牧師が広西省北海市で多数の警察官に拘束され、現在も消息不明です。同時に、北京にいた十数名の教職者とその家族も行方不明となりました。
10日夜9時から深夜2時にかけて、シオン教会の北京地区を担当する複数の牧師・伝道師が北海市警察によって越境逮捕〔本来の管轄地域を越えて他地域で行う逮捕〕されました。逮捕されたのは、高穎佳牧師、王鵬牧師、孫聡牧師、米沙伝道師、小雨姉妹らで、彼らの住居は家宅捜索を受け、パソコンや携帯電話が押収されました。
同夜、伝道師の戦歌氏が浙江省嘉興で北海市警察に逮捕され、そのまま夜を徹して北海市へ連行・拘留されました。信徒の杯子兄弟は上海虹橋空港で拘束され、消息が途絶えています。
11日午前7時には、劉桢彬牧師が山東省黄島で警察に連行され、自宅が捜索されました。同日午前中には、慕成林牧師が四川省成都で拘束され、行方不明となっています。
関係者の家族によると、これらの強制措置は広西省北海市銀海区派出所の警察によって実行されたものであり、警察は「逮捕名簿」を所持していました。また、一部警官は9月26日付の逮捕令状および捜索令状を提示したとされています。現在、複数の教職者が北海第二拘置所に収容されており、「違法インターネット宗教情報の拡散」の容疑で刑事起訴される可能性があります。
なぜこの国で、神を愛し、人を愛し、法を守って生きる多くのキリスト者たちが、罪人のように不当に扱われなければならないのでしょうか。主イエスは既に「世があなたがたを憎むなら、あなたがたを憎む前にわたしを憎んでいたことを覚えなさい。」(ヨハネ15章18節)と、その答えを教えてくださっていますが、「義のために迫害される人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである」(マタイ5章10節)とも語っておられます。
私たちは、世界中の兄弟姉妹に、シオン教会および中国教会全体のための励ましと支えを、切に祈り願います。
主イエスが十字架につけられる前の夜、ゲッセマネで祈られた祈りを、私たちも主イエスに倣い共に祈りましょう:「父よ、御心なら、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、御心のままに行ってください。」(ルカ22章42節)
主に栄光がありますように。
シオン教会 牧師・教職団/長老団/教会実務委員会
2025年10月11日

SNS上で公開・拡散されたシオン教会の「緊急祈祷要請書簡」